出演者   坂本新治  2000.11.26
 心と体のクリニック、毎週第4日曜日は、お薬のお話をお伺いしています。今日の先生は、坂本新治先生です。よろしくお願い致します。さて、先生、今日は、「風邪について、その予防と治療」というお話をお伺いするのですけれども 最近、気温の変化が激しい日が続いておりますがこういった時期に良くひいてしまうのが風邪ですよね。私も先日、風邪ひきまして のどがイライラしてたんですけれども 今日は、風邪について色々聞いていきたいと思います。まず、一口に風邪といっても症状は様々で咳や鼻水、咽喉の痛みや熱など、一体、風邪ってどんな病気ですか?
 そうですね、色々な症状を引き起こす風邪。実は、風邪っていうのは正式の病名ではないんですね。実は、異なった病原体が 鼻やのどの粘膜に取り付いて引き起こされる様々な症状をまとめて そう 一般に呼んでいるわけです。
 では、その様々な症状を引き起こす風邪なんですけれども 今、「風邪は病原体が取り付くことで起こる」と伺いましたけど病原体というのはどんな種類があるのでしょうか。
 細菌などが原因の場合もあるんですが 9割以上はさらに小さなそれこそ電子顕微鏡でしか見る事の出来ないウイルスという微生物が原因になっています。そのウイルスの中には風邪に関わるものだけで200種類を越えるといわれています。このウイルスが鼻や咽喉とか気管など呼吸器の粘膜にとりついて増殖しはじめると、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、さらには、咽喉の痛みや咳、痰など風邪の様々な症状が引き起こされるというわけです。
 200種類もあるんですね。風邪って 一言で言ってしまっているので ちょっとびっくりなんですが、この200種類のウイルスの中で どれが取り付くかによって 現れる症状や重さも変わってくるのでしょうか?
 そうです。風邪を2つに分けると 普通感冒と流行性感冒、いわゆるインフルエンザになります。一般に風邪と呼ばれるのは普通感冒のほうで原因となるウイルスは鼻に取り付くラノイウイルスや咽喉をはらすアデノウイルスなどです。また、インフルエンザの原因となるウイルスは風邪のウイルスの中でも最も重い症状をもたらすインフルエンザウイルスです。
 はい、インフルエンザというのは冬にすごく流行るという感じがありますが、このインフルエンザと風邪との決定的な違いはなんですか?
 そうですね、決定的な違いはかかった後の症状の重さにあると思います。具体的には40度にも及ぶ熱の高さであるとか、熱の出方も急激に高熱が出て、あと、悪寒、頭痛、関節や筋肉の痛み、こういったものがかなりひどく全身症状が現れてくるのがこのインフルエンザですね。
 今、ウイルスの種類についていろいろ伺ってきましたけれどもこのウイルスっていうのは、そもそもどんな性質を持った生き物なのでしょうか?
 風邪のウイルスの多くは、温度や湿度の高いところは苦手のようです。ですから日本の冬のように気温が低く、乾燥した条件では活発に過ごせるというわけです。雨が降ると風邪も落ち着くといわれるのもそういった原因があるんですね。
 でも、人間の体は半分以上が水分だといわれていますよね。それがなぜ、湿度の高いのが苦手なウイルスで 体の中に入り込むことが出来るのでしょか?
 ウイルスは自力で仲間を増やすことが出来ません。ですから 生きるためには他の動物の細胞に住み着くしかないのです。そこで、まずは乾いた鼻や咽喉の粘膜に忍び込むわけです。そこで細胞の乗っ取りを始めます。一旦、始まると後はその細胞の働きを使って分裂し増えていくというわけです。もう一つ付け加えますと、ウイルスの中には高温多湿を好むのもいまして、いわゆる夏風邪をひきおこしたりするのはこのわけ
 先程、ウイルスに感染して風邪が引き起こされるということで、ウイルスについて詳しくお伺いしてきましたけれども、では、実際に風邪にかかってしまったらどんな事に気をつけなければならないのでしょうか?
 これは あたりまえのことなんですが、何より安静第一です。環境的には保温、保湿に気をつけてください。具体的に言いますと部屋の温度ですと部屋全体が、だいたい20〜25℃位が理想的だと思います。また、気管の粘膜の乾燥を防ぐため、加湿器などで部屋の湿度を高めるようにして下さい。あと、大事なことは栄養をきちっと摂ると言う事です。水分の補給もきちんと忘れないようにして下さい。
 風邪を引いたときには、栄養を十分に取って、休養することが大事だということはわかりました。でも、私みたいに、中には仕事でゆっくりと休養をとっていられない人もいると思うのですけれども。そういった場合どのようにすればいいでしょうか?
 そうですね、忙しい方は多いですから大変だと思いますが、適切な答えになっていないかもしれないですけど、風邪の原因であるウイルスを直接退治できるって言うのは、体の中にある免疫というものの力なんです。できれば十分、栄養をとって休むことが大事なんですが、風邪はほっといてもという言い方はあれなんですが、ひいてから治るまで約一週間かかります。ゆっくり休養を取れない方は、この間、体力を温存するために、症状を軽くするように市販の風邪薬でもいいですので風邪薬を上手に使うことも大切なことだと思います。
 市販の風邪薬といいますと、ほんとに最近たくさん種類がありましてどんなものを買っていいのか迷ってしまうんですけれどもどういったものをお奨めできますか?
 答えとずれるかも知れませんが、咳というのは、例えば、咳のひどいときなんか、我慢し続けるとかなりの体力を消耗します。薬で咳などを抑えることにより、体力の消耗を防ぎ体の抵抗力を保つことができたりもします。ですから、咳のひどいときは咳中心の咳止めのお薬、また、高熱でぐったりしているときには、余分に体力を使わせない為にも、解熱剤で下げたほうがいいと思います。ですから、総合感冒薬でもいいですが、熱とか咳とか、体力を失いやすいようなとき、改善するような専門的な薬がいい場合のほうが多いかと思います。ただ、薬を過信することなく、薬というのは、安静と栄養による体への思いやりを時に応じて手助けする手段と考えてください。
 これから、風邪がまた流行ってくる時期になると思いますけれども、まずは、予防ということが大切なんじゃないかなあと思うんですけれども、どんな事に気をつけなければならないでしょうか?
 ありきたりの事になってしまいますが、まず第一にマスクをつけること。次によく手を洗うこと。3番目にはうがいをすることです。ただ、この3つを行っても完全に防ぎきれるわけではありません。他には、ゆったりと睡眠をとったりだとか、あたりまえですが、好き嫌いなく、また、暴飲暴食をしない、あと、毎日体を鍛えたり、あと、厚着をし過ぎないとか、タバコの吸いすぎなんかにも気をつけた方がいいと思います。  
 先生に風邪についていろいろとお伺いしてまいりましたが、ちょっとここで質問したいと思います。よくお風呂に入ったあと 湯冷めをすると風邪をひくって言われますけれども、これはどういう理由でしょうか?
 お風呂上りには、入っているときにはあったかいんですが、あがったとたんに急激に体温が下がってきますね。この時、薄着や肌着のままでいると 体が冷えてしまいます。体が冷えてしまうと 神経が刺激されちゃいまして、その反応によって粘膜に炎症が起きてしまうのです。また、炎症が起きている粘膜は ウイルスに対する抵抗力も弱くなっていますので風邪をひきやすくなってしまうという訳です。
 お風呂の話が出ましたので、実際、風邪をひいてしまった時に お風呂に入るとダメってよく聞きますが、それはどうですか?
 症状が軽ければ大丈夫だと思います。ただ、無理して入るのは 決してよくありません。また、熱いお湯に長くつかるのは体力を消耗しますので、気をつけていただいたほうがいいと思います。ただ、入った後は すぐにタオルで拭いて 冷えないうちに布団に入りましょう。髪は洗わないほうが無難ですが、どうしてもという時は すぐにドライヤーで乾かしてください。
 それから、風邪をひいた時は とにかく「汗を出して熱を下げろ」みたいなふうに言われますが、これはどうでしょう?
 そうですね、普通、風邪の治りかけに汗が出てくるから そう言われているのだと思います。ただ、勘違いしてほしくないのは 汗が出れば風邪が治るからといって 無理に汗をかこうとしないことです。無理に こんなことをしちゃいますと やっぱりかえって体力を消耗し、かえって症状を悪化させる恐れがあります。汗をかいた時には 体が冷えないようにふき取り、こまめに着替えることを忘れないでください。
 もう、各家庭でも コタツを出された方、多いと思いますが、どうもコタツにいると、ついうっかりうたた寝してしまうんですけれども、コタツで寝るとやはり風邪をひきやすくなるのでしょうか?
 そうですね、私もコタツが好きでよくやってしまうのですが・・・ 寝ている間というのは、いくらか体温が低くなるわけです。しかし、電気コタツは一晩中、体温より高い熱を出し続けるため、これが体にとってストレスになって体調を崩すこともあります。これが、風邪をひく原因の一つにはなるかもしれません。
 なるほど。それから 冬の時期になっても よく子供たちの中では半そで、半ズボンで過ごしてたりする子もいますよね。見ているこちらが寒くなってしまうことが、よくありますが、薄着の子供はあまり風邪をひかないといいますが、その点に関してはいかがです?
 そうですね、子供のうちから温度差に対する抵抗力をつけるという意味では、寒さの刺激にも体をならすために薄着のほうがいいと思います。そうしますと、風邪もひきにくくなります。ただ、薄着には個人差がありますので ここでは、厚着のし過ぎは避けたほうがいいといっておいたほうがよいかと思います。
ありがとうございました。