出演者 中瀬潤子 2000.09.24
 心と体のクリニック、今日は中瀬潤子先生に一般医薬品と医療用医薬品についてお話をいただきます。

 さて今日はわかりやすい薬の話としまして、処方せんなしで購入できます一般医薬品、そして私たちが医師に見てもらった時に出してもらう医療用医薬品についてお話いただくんですけれども、もう少し私達にわかりやすい様に教えていただけますか。

 一般医薬品とは、個人個人が自分の判断でお店から購入できる薬です。安全性に重点をおいた作用が穏やかで軽い疾患の治療や予防、健康増進に用いられるものです。いわば自分で買う薬と言うことでセルフメディケーションとも言います。医療用医薬品は医師の診断のもとで処方される薬のことです。
 それでは普通私たちが一般的にお薬屋さんで買っているものを一般医薬品と言いまして、手軽に誰でも購入できると言うわけですね。それだけに一般医薬品の購入の際に私たちはどういうことに注意しなくてはいけないかと言うことを教えていただけますか。
 一般医薬品は先ほどお話しました、自分で症状に合わせて買う薬のことです。自分の体調を把握して購入してもらいたいと思います。そのためにはどんどん私達、薬剤師を活用してほしいです。添付文書は必ず読んでください。重要なものです。添付文書の中の用法、容量、使用上の注意は特によく読んでもらいたいです。

 そして少しでも疑問があったら相談してください。セルフメディケーションとはそういう事です。

 ところで曽我さん、最近スイッチOTCと言うのが話題になっていますが曽我さん自身、耳にしたことがありますか。

 スイッチOTCですか。まあ、スイッチとは切り替えるとか言う意味だと思うんですけど、OTCの・・・そうですね、オーバーテクニカルコミュニケーション・・・なんて適当に言ってますけど、何でしょうか教えてください
 OTCとはOver The Counterの略で、カウンター越しに購入できると言う、まぁ元はそう言う意味です。今までお話してきました一般医薬品を指します。

 スイッチOTCとは従来は医療用医薬品であったものが、長い間使われて安全だと判断されたことにより一般医薬品として転用され購入できるようになったものを指します。スイッチOTCは作用も従来のものより強力で薬剤師が管理しているお店でしか購入できません。服用にあたってはしっかり説明を受けてほしいと思います。

 最近、そのスイッチOTCの仲間に入ったもの、一般医薬品になったものを具体的に教えていただけますか。
 今までスイッチOTCがもっとも多く使われていたのは風邪薬で、コマーシャルなどでイブプロフェンとか塩化リゾチームと言った成分名が流されていますが、ごく最近・・・ごく最近と言っても2〜3年になりますが一番話題をさらっているのが成分名、胃薬で使われているH2ブロッカーと言うことになります。  (音楽・・休憩)
 今日は、一般医薬品と医療用医薬品についてお話をお伺いしていますが、今、医療過誤問題・・・誤って飲んでしまうと言うか誤って服用してしまう問題が盛んに取り上げられていますけど、間違った服薬の例がありましたら教えてもらえますか。
 処方してもらった薬を、自分で勝手に回数や量を増やしたり減らしたり、違う人に渡したり・・・と言うことを私達はよく耳にします。でもこれはしてはいけないことです。処方薬はあくまでも個人個人に応じた専用のものです。もし自分で ”具合が良くなっているのにこのままでいいのかしら” とか ”具合が良くならないのにこのままでいいのかしら” と言った不安や疑問がある場合はまず主治医に相談していただきたいです。

 身近な例として、喘息の人で現在落ち着いているからと言って薬を止めたり減らしたりと言うことをすると、発作がまた起こって病気が悪化してしまうと言うこともあります。また違う例として、高血圧の方が薬を飲み忘れて、2回分を一度に飲んだりした場合、低血圧ショックを起こし意識がもうろうとしたり気を失って倒れたりすることもあるんです。良くある例として処方された鎮痛薬を別の人に渡して、それが相手の人に合わずに喘息の引き金になったりする事もあるんです。

 処方薬は、あくまでも処方された人自身の為の薬であり、その人自身の為の服用法がある、と言うことを認識してもらいたいと思います。

 確かに他人の薬を飲んでしまうと言うのは、ちょっと怖いことじゃないかな・・・と思うんですけども、よく服薬の仕方で食後30分後に飲んでください・・と言うのがあると思うんですけども、食事をする前から空腹時に・・たとえばお腹が痛くて薬を飲まなくちゃだめ、と言うときは食後30分後を待たなくても飲んでも大丈夫ですか。
 どうしても、と言う場合は、まずその効果を期待することのほうが・・・そうですね、そう言う場合は多目の水で飲んでいただく。どうしても胃に負担がかかる薬の場合は何かビスケット1枚、それでもいいですから口にして頂いて多目の水で飲んで頂く、そうしてからそれ以後は食後に飲んでいただく、その1回だけ特例として最初に・・・そう言う様なことをする場合もあります。
 はい、わかりました。それでは薬と上手に付き合っていくにはどうしたらいいか教えてください。
 医療用医薬品を服用している方は薬の説明を聞いてから受け取っていると思いますが、その時の服薬記録を自分で付けておけば管理の役にすごく立つんです。薬局ではお薬手帳を持っている方には服薬記録をその手帳に記入して薬と一緒にお渡ししています。一般医薬品も自己管理として記帳しておいてもらえれば、その後の管理として私達薬剤師にもすごく役立ちます。
 はい、お薬手帳と言うものもこの”心と体のクリニック”で何度か取り上げさせていただいていますけども、まだちょっと聞いたことがないと言う方のためにお薬手帳とはどういうものか教えてください。
 処方された薬の名前や飲む量、回数、効能、主な注意事項などの記録を残す為の手帳なんです。この記帳があると、どのような薬をどの位の期間使っているかがわかります。また他の病院などで薬をもらう時にも、医師・薬剤師にこの手帳を見せる事で、同じ薬が重なっていないか、飲み合わせは大丈夫か、などの確認もしてもらえます。”自分の体は自分で守る”と言うことからも、保険証と同じように扱ってもらえればすごくいいことです。お薬手帳は薬局で薬を受け取る際に、無料でもらうことができます。もちろんこれは個人で作った手帳でも記録が出来ればいいわけです。        (音楽・・・休憩)
 先生、それでは、お薬について、いろいろお話をおうかがいしてきた訳なんですが、先生の様な薬剤師の立場から、私達が薬を服用するにあたってどういった事を望まれますか。
 先程の話と重複してしまいますが、まず各自”自分の体は自分で守る”と言うことを基本にしてもらいたいと思います。この基本的な考えがあると医師・薬剤師と積極的に向き合うように自然となってくると思うんですね。私達薬剤師は、この”自分の体は自分で守る”と言うためのお手伝いをしていきます。服用にあたって十分な説明を聞く意味で、信頼のおける薬剤師・薬局を決めて”かかりつけ”を持つのも必要なことだと思います。
 それでは最後に、薬剤師として他に何か気を付けていることがありますか。
 薬そのものに細心の注意を払い服薬指導に当たるのは、私達薬剤師の務めとしてもちろんのことですが、ただ今までの経験で、《処方してもらった薬が効かない》と言って一般医薬品を求めに来られる方もたくさんいるんですね。これは医師の前では患者さんと言う立場で遠慮してしまい、納得いくまで話が出来ていなかったり、現状を伝えられなかったりしたのかな・・・なんて思っています。

 一般医薬品を求める場合はお客さんと言う立場になってリラックスして話をしたり、聞いてもらうという事で、気持ちも落ち着くと言うことなんでしょうか。意思の疎通、及び信頼関係を築くことそのものが有効な薬になると言うことを、私達薬剤師、並びに医療従事者は心しておかなければいけないと、常ずね思っています。そして私達薬剤師と、どんどん積極的に向き合ってもらい、それに答えられる様にしていかなくてはならないとも思っています。

 ありがとうございました。