出演者 長谷川祐一  2000.4.30 
 さて、4月から介護保険がスタートしましたが、この介護保険のスタートによりまして、薬局のサービスとか、業務内容とか、そういったことで何か変わったところとかあるんでしょうか? 
 先日の介護保険の話に関連しまして、おむつ給付の話をしました。その他にですね、介護保険と薬局の話題の第2弾として、高齢者の服薬管理指導の現場からと題しまして、お話を続けていきたいと思います。それと平成12年度の医療法の改正により、皆様に提供する薬局のサービスが変わりましたので、これについてもお話したいと思っております。
 4月にはいろいろな内容が変わったということですが、先ず最初に介護保険によって変わった点について教えていただけますか?
 介護保険により変わった点というのは、介護支援事業が薬局の役割として加わりました。その他に福祉対応とか、福祉用具の対応事業とかですね、そういったものも加わっております。
 大きいものとしましては、介護支援事業という、ケアプランの作成事業ですね。これもいわき市の薬局の中でも数件入ってきております。

 それから、居宅療養管理指導とお薬を御宅に配達いたしまして、必要な管理・指導を行う、それから先生方への患者さんの服薬状況とか、お薬の有効性、安全性を保つための情報提供などをしまして、管理指導というものをしていきます。

 そういったものが、以前にも医療制度の中ではやられてきたのですけども、この部分が介護保険に変わったということになります。それから診療報酬改定という事が今回医療法の改正という事で行われたのですけども、情報提供という事で、以前にもお話したと思うのですけども、お薬手帳というものが新たに、サービスの重要な柱として、提示されてきたということになりますので、こういった点についても、お話できればと思います。

 それでは、どういった点が具体的に変わったのか、お話してください。
 第一にはですね、居宅介護支援事業が、変わったという点なんですけども、これは介護保険によって、皆さんご存知のケアプランを作成できるということになります。このケアプランを作成する人は、ケアマネージャーという職種の方なんですけども、このケアマネージャーというのは、薬局の薬剤師でも十分対応できるということで、資格を取られてる先生が多いです。

 ただ今、事業所としては薬局で取られてる事業所は少ないんですけども、やられてる先生もいらっしゃいますので、どうぞ薬局の居宅介護支援事業、つまりケアマネージャーをご利用ください、という事を皆様にお願いしたいと思います。

 薬局でも、ケアプランを書いていただけるという事になりますと、非常に身近なところで介護のことが聞けるのでいいと思うのですが、どうでしょう?
 薬局でケアプランを立てられるということを言ったんですけども、先ず、その前段階ですね、介護に関する悩みとか、この後、何処に相談したらいいのだろうかという事を薬局に栄養ドリンクを買いに行った時でも、気軽に相談できる、街の中の相談所みたいな形で皆さんに認識されて、相談していただくということが大切かなと思います。ほかにも薬局でケアプランを立てるということじゃなくて、先ず相談のかかりつけの機能ということを私としましては皆さんにPRしたいなと思いますので、皆さんの気軽な相談所という風にお考えください。
 先程、居宅療養管理指導というところも変わりましたという話だったんですけども、それについてもう少し具体的にお話ください。
 今までにも、お宅へお邪魔して服薬指導をするという、ケースがいくつか有りました。それが、介護保険が新たに新設されまして、介護保険が優先という事で介護保険の中で居宅療養管理指導という名前に変わっていったという事です。従来の医療の服薬管理指導もそのまま残っていますけども、これの住み分けについては少々複雑なのですが、大体は介護保険で皆さんの服薬指導をしていくということで、その点が変わったということになりますね。
 まあ、お年寄りになってきますと、いくつかの病気をお持ちだったりしますといくつかの病院に通って、薬の数も多くなってしまうと、「一緒に飲んでいていいのかな」とか等、家族としては不安があると思うんですね、それを居宅療養介護でご説明していただけると思うのですが、その内容についてもう少し詳しくお話ください。
 従来、薬の飲んでいるか、飲んでいないかの管理というのは、ヘルパーさんとか、訪問看護婦さんに観てもらうことができるんですけど、薬剤師が行う服薬指導というのは、もうちょっと意味が違います。
 

 先ず、家族への指導の内容ですと、薬品名、薬効、正しい使い方、副作用を確認する、外用薬など特殊な使用法がありますので、そういったものを説明する、保管法が変わっているもの、有効期限内での使用という事も指導するわけなんですけども、この他に飲み忘れたときの対応法とか等も伝達してくれるかと思います。

 それから介護を受ける方ですね、いわゆる寝たきりの方、または世話をされる側の方はですね、自分で服用したかどうか忘れてしまうとか、「もう、薬飲むのが嫌だ」と拒否したりするとか、そういうことへの対応法を一緒に考えるとか、それから服薬の能力が低下する、これは嚥下が悪くなったりするということについても連絡を密にして対策をするということになります。このためには、剤形を換えると、大きな錠剤で飲めない場合には、小さい錠剤にする、または顆粒にしたり、粉にするなど、そういったことを薬剤師がコーディネイトすることで、先生とよく相談をしながらやっていける業務になってくると思います。

 そして、後はお医者さんに至急連絡しなければならないこと患者さんの容態に変化があったときとか、薬の副作用があったときとか、あらかじめ相談するとか、これも日常の服薬指導でも当たり前のことなんですが、患者さんの容態が変わるというのも介護という部分では非常に重要な部分になってきますので、これを連絡を密にしながらやっていくということ、それからよく把握してもらうということもひとつの材料となると思います。安心して服薬できるということがそこに入ってくるということになります。

 それから食事摂取量の変化とか、排泄状況の変化に結びつく薬剤もありますので、そういったものも注意していきたいと思います。こういったものを全部まとめますと、患者さんの生活の質へ及ぼす薬の影響というものを生活全般を通して、例えばADLという日常生活動作という事があるんですけど、そういったものも注意しながらみていくということ、それから、家族と一緒に介護をしていく上で、薬の影響をお医者さんもそうですし、ヘルパーさん、訪問看護婦さん、リハビリをする方、そういった方と一緒にその方の介護されるかたの「Quality Of Life」つまり、生活の質を高めると、薬によって下げてはいけないんだという観点からの指導をしていくというような内容になってくると思います。

 それでは最後になりますが、先程どんなことが改正になったというお話の中で、お薬手帳の役目が大切になりましたというお話がありましたが、このお薬手帳についてお話をお願いいたします。
 今回の医療法の改正で、お薬手帳の発行という事が始まります。これは患者さんとのやりとりの中で必要だということでお勧めしたいと思っております。
 何故かというと、お薬手帳が様々な薬のトラブルから守ってくれるお守りになるんじゃないかと思います。
 それから先生の貴重な情報源として、例えば内科の先生にかかっている方が整形にもかかったそこでお薬手帳に整形でもらっている薬、内科でもらっている薬を書くことによって、薬のトラブルを事前に防止できるし、先生方もその情報を元に適切な治療を施していただけるんではないかと考えております。
 そして、今回介護保険も入ってきました。医療だけでなくて、保健、福祉に携わる方への情報の連絡帳みたいな役割、この3つの大きな役割を果たしてくれるものだと思って期待しております。
 それでは、お薬手帳の中身について詳しくお話していただきたいと思います。
 先ず第一にお話したいのは、お薬手帳をお使いになる方はこのお薬手帳をご自身のものであるということを先ずご明記ください。
使い方は御自由なんですが、これを見せたくない方には見せなくて結構です。あくまでもご自身のプライバシーの問題もございますので、これは大切なものとして使っていくということが重要かと思います。

 これを元にですね、例えば日頃の体調や病状を記録しておくとか、先程も言いましたが、診察のときに先生への貴重な情報源として見せるということが大切になってくると思います。
 先生や薬剤師にお願いしたいことをメモしておくとか、薬の飲み忘れや飲まなかった日を記録すると、こんなことも必要になってきますね。薬を飲んで気持ちが悪くなったり、便秘や下痢になったり等、なにか変化があったときに忘れないうちに記録するという事が大切だと思いますが、これを記録してもらうとか、自分がこういう症状になって、誰にもお話できない場合には身の回りの世話をしていただいている家族とか介護者にですね、これをなにかあったときには見せて、適切な治療、あるいは対応してもらうようにお願いしておくということも重要になってくると思います。
 どんな使い方をするのも自由なんですけども、あくまでも、これはご自身のものであると、見せる見せないはご自身の責任の中でやってくださいということもお話したいと思います。

 それでは、先生最後になりますが今日のまとめをお願いいたします。
 介護保険あるいは、今回の医療法の改正、様々にですね、お薬を飲む方の環境あるいは社会保障の整備が変わってきます。当然、我々が社会から求められる薬剤師の役割というのも変わってくるんですね。

 我々はどういうことをして皆さんに見える形で薬剤師の役割というのを出していくのか、これも難しい問題ではありますけども、陰ながら努力しているということを先ず皆さんにご理解してもらいたいと、又見える形で、皆さんに我々の持っている情報を開示していくということも大事になると思います。
 これも多分にですねお医者さんとか他の医療スタッフとかとの連携の中でやっていかなければならないことなので、我々が独自にできるという事ではありません。薬剤に関する専門家として、療養上副作用の発見だけではなくて、日常生活での影響などをお医者さん、あるいはその他の医療スタッフと連携して、又今度は介護保険、福祉スタッフも入ってきます。そういった方々と問題症状の発見などお医者さんの外部センサーとしての医薬品に関する円滑、迅速な情報の流れを制御する役割を果たすことですね。
薬の有効性、安全性などを皆さんに供給していくというのが我々の任務になってくると思います。

ありがとうございました。