出演者 長谷川祐一  2000.4.23
 今日のこころとからだのクリニックでは、介護保険と薬剤師というタイトルで、大人用紙おむつについてお話しをお伺いいたします。お答えいただくのは、いわき市薬剤師会の長谷川祐一先生です。先生よろしくお願いします。
 よろしくお願いします。
 さて紙おむつといいますと、やはり乳幼児が使うというイメージがほとんどだったと思うんですけど、高齢化社会が進行する中で、大人用の紙おむつもずいぶんスーパーなどで見かけるようになったと思うんですね。今日は紙おむつの種類から、その使用の仕方、それから、介護保険制度でも紙おむつがいろいろな適応があるという事なので、そういったことをお伺いしていきたいと思います。
 まず、大人用紙おむつの種類について教えていただけますか?
 はい、使用者のADL、つまり日常生活動作レベルという難しい言葉があるのですが、これは紙おむつの場合、排泄の自立の維持・回復を考慮した使用に合った紙おむつを選ぶという事が大切になってくると思います。
 その中でも、このレベルの問題なんですけども、概ね自立とか、なんとか自立しているとか、一部介助、または、介助してても他人の手を大きく委ねてしまうとか、全て介助してもらうとか、そういったもので、いろいろな使用のレベルも変わっていくという風になりますね。
 例えば、パンツ型の紙おむつとかいろいろなおむつがあると思いますが、どんな種類があるんでしょうか?
 大きく分けて二つございます。ひとつはテープ型、それから、もうひとつはパンツ型というものがございます。
 例えば、その不自由度が大きいほど、どちらを使うのでしょうか?
 不自由度が大きいほどテープ型を使う方が多くなりますね。それから、補助的にパッドというものなんですけど、補助的な紙おむつを重ねて、なるべく効率の良い使用を目指しているということもあります。
 それでは、使用者に合ったサイズの選び方というのをお伺いしたいのですが?
 ほとんどのものは、サイズの使用範囲が表示されています。その表示されている部分をよく読みまして、サイズがヒップやウエスト、あるいは製品サイズなどメーカーによって異なる部分もありますので、それを確かめて使用してください。
 先程、テープ型とパンツ型というものがちょっと出てきたと思うのですが、そちらについてもご説明いただいてもいいですか?
 テープ型というのはですね、テープを留める位置を調節することで、幅広い適応対象に合わせることが出来ます。したがって、ヒップサイズを表示した製品が多いという事になってきます。購入する際はヒップサイズを測ってその範囲にあるサイズの製品を購入すると良いでしょう。
 また、ウエストサイズを表示されている製品もありますので、尿取りパッドを併用する際は、その厚み分も考えて、サイズを選ぶと良いでしょう。
 それではパンツ型はどうですか?
 下着のように穿いて着用するタイプなので、先ずウエストサイズの表示が重要になってくると思います。ウエストの伸縮でしか調節できませんので、お腹にゴムが食いこまないと云うことがサイズ選びのポイントになると思います。

 尿取りパッドを併用する場合にはその厚みを考えて、大き目のサイズを選ぶという事も大切になってくると思います。

 それでは、たくさんのブランドが出ていると思うのですが、ブランドによってサイズが若干変わってくると思うのですけども、そういった事は如何ですか?
 紙おむつは使用者にできるだけフィットするように数種類のサイズを用意してあります。最終製品はメーカー毎に若干の差が有るのが現状です。
 これは各メーカーが独自にデザインして製造しているためなんですね。このために日衛連というものがあるんですけど、これに加盟している企業のパッケージには、規格に基づいた表示があります。
 その中の対象商品は、ウエスト、ヒップ、あるいは製品のサイズなどをその製品サイズの根拠と適応範囲が記載されていることがありますので、購入の際に参考にされるといいと思います。
 紙おむつのほうなんですけども、例えば、小さいお子さんだと濡れると泣くというような事を目安にして、紙おむつを替えていると思うのですが、大人の方の交換頻度というのはどのくらいでしょうか?
 紙おむつを使用する場合ですね、3〜4時間おきに交換するのがひとつの目安になると思います。
1日に直すと約7回程度、これが目安になるんですけど、紙おむつと尿取りパッドを併用する場合は、尿取りパッドは排尿毎に交換して、紙おむつは汚れたら交換するという事で、多少は効率がよくなると思います。

 気を付けなければならないのは、点滴とか利尿剤を使用している場合ですね、尿量が非常に多くなるんです。この場合は介護を受ける方、つまり紙おむつをしている方の健康状態や、排尿状態に応じて交換回数を工夫することが大切になってくると思います。

 それから皮膚の健康面と衛生面からですね、排尿・排便後はできるだけ早く新しい紙おむつと交換して、お肌を清潔に保つことがかぶれや、床擦れを防ぐことにもつながってきますので、大事なことだと思います。

 それから排尿表というものを作って、紙おむつの様子を3〜4時間毎に調べて、排泄のリズムを掴むのもひとつの工夫だと思います。紙おむつの交換時には、褥瘡、発疹、肌荒れ、傷などの異常が無いかどうかを必ずチェックするのも介護者としては重要な事になってくるのではないかと思います。

 ただでさえ、肌に触れているものですから、排泄があったらすぐに交換するというのは大切なことと思います。とはいえ、夜間にもおしっこが出てしまったりすることがあると思うのですけども、起こしてまで紙おむつを交換した方が良いのでしょうか?
 その部分は難しいんですけど、介護する人にとってもですね、介護される方にとっても、十分な睡眠を取ることが介護疲れを防ぐ点からも大切なことと思います。排尿量が多くて漏れたりしない限りは、起こしてまで交換する必要は無いといわれております。

 紙おむつには一晩1枚で済む高い吸収性を持つものもありますので、そういった製品を選ぶことも大切になってくると思います。ただ、点滴を受けていられる方、特に排尿量が多い場合には、途中で一回交換することが必要にってくる場合がありますので、その辺りは皆様で適宜判断されるようにしてください。

 それでは、先程もおっしゃてましたけど、床擦れとか、ただれといった問題があると思うのですけど、皮膚がお年寄りになると薄くなってくるので、ただれやすい方もいらっしゃると思うんですね、何か工夫がなどがありましたら教えてください?
 工夫ということであればですね、漏れるということを防ぐことが大切になってくると思うのです。

 3つほど有りまして、多量の水分の摂取、寒い季節や利尿剤などの投与などで、尿量が増えた場合、その増加に合わせて、紙おむつの種類を選ばなければならないということになってくると思います。尿量の様子を見ながら交換のタイミングを調節するという、この2つが大切になってくるということが一点ですね。


 それから紙おむつの当て方に工夫が必要なことがあります。使用サイズが適当でない場合、体重とか体型に合わせたサイズを使用するというのが云うまでも無いのですが、テープの位置を工夫するなど、身体にピッタリと添っているか確認することが大切なポイントになると思います。


 そして長時間の使用によって、吸収許容量を越えたり、紙おむつがずれてきた場合には、紙おむつが尿を吸収して、ずっしりと重くなって漏れが生じているということもありますので、許容量を超えている可能性の有るという事を尿量の様子を見ながら交換のタイミングを調節することとなってきますから、今までお話した交換頻度、サイズの選び方、おむつの種類というのが非常に大切になってくるということが、漏れを防ぐ工夫になってくると思います。
 

 そして、まとめて言いますと、動くことによって紙おむつがずれることもありますので、テープの留める位置が適切か、股下がピッタリ身体に添っているかなどを使用中に確認することも大切になってくると思います。紙おむつを使用する場合には、テープ型紙おむつの漏れ防止の立体ギャザーの内側にお尻が入るように注意してください。それから足回り、股部分からの漏れの場合は足回りのギャザーが外側に正しく出ているか、身体に添った形になってるかを確認することも大切になってくるかと思います。

 最後になりますけど、大人用紙おむつが医療費控除の対象になると伺ったんですが、これはいかがですか?
 先ず、医療費控除について話したいと思います。世帯主や、同じ生計で暮らしている配偶者、親族が多額の医療費を払った場合、一定の手続きをすることで、課税所得が控除され、すでに納めた税金の一部が戻ってくる制度、と私も考えております。

 医療費控除の範囲は概ね、いくつかのパターンがありまして、ひとつはお医者さんや歯科医師に支払った診療費、例えば、金の総入れ歯も治療のためなら認められます。
 

 そして、治療や療養のために買った医薬品代、薬局薬店で購入した風邪薬や、胃腸薬も対象になるとは思いますが、ビタミンなどの保健薬は対象にならないので注意したほうがいいと思います。
 

 そして、病院・診療所・助産所に収容されるための費用。

 四つ目は、治療のためにマッサージ・鍼師・灸師に支払った費用。

 五番目に、療養のために、保健婦さん看護婦・准看護婦及び、付き添いに支払った費用。ただし謝礼は除いております。

 こういったもの、そして診療を受けるための通院費や、医師の送迎に費やした費用、入院時の部屋代・食事代及び医療用具・器具類の購入、賃貸のための費用で通常必要なもの。

 そして七番目に、日常最低限の用を足すための義手・義足、松葉杖、補聴器、義歯などの購入費。

 八番目に、疾病により概ね6ヶ月以上寝たきり状態であると認められて、治療を継続して行う必要があり、さらにおむつの必要性があると医師が認めた人の使用する大人用紙おむつなどの購入費と、おむつについては最後の8番目になりますね、医療費控除を受けるためには確定申告の際に、この8個に対して支払った医療費の総額から各種の保険で、補填された金額と10万円か、或いは所得金額の5%かのいずれか少ない金額を差し引いた金額、控除額を申告する。

 このことについては述べたのですが、先ずポイントとしては大人用紙おむつが医療費控除の対象となるということが必要ですが、ここではお医者さんが認めた場合と、お医者さんに証明書を発行していただくことも必要になってくると思いますので、手続き上間違わないでください。それから税理士さんや、税務署の係の方とよく相談して、間違いのないようにしていただきたいと思います。

 それでは医療費控除の申請をいたしますと、大体、幾らぐらい税金が戻ってくるのかそういったケースを教えていただけますか?
 医療費控除による還付金金額は家族構成や、年収によってまちまちになります。
先ず概ねの目安という事で、例を挙げさせていただきますと、年収400万の方がですね、家族構成ですと、ご夫婦、幼児1人、お年寄り2人の世帯でですね、この方々が年間医療費が23万円かかったとしまして、税金の還付金額は、1万3千円ぐらいが目安という事になると思います。
 又、もう一つ例を挙げますと年収750万円の方、家族構成が夫婦、高校生1人、大学生1人、お年寄り1人ということで、年間医療費が37万円かかるという方であれば、2万2千円前後の還付が受けられるとお聞きしております。これもやはりケースにより各々違ってきますので、気をつけてください。
 治療やお薬にかかったと同じように、医療費控除としまして、紙おむつもかかるということがわかりましたので、皆さんもぜひご利用されてみては如何でしょうか?ありがとうございました。