出演者 藤田雅士  2000. 3.26
 健康は,私達の願い,そしてかけがえのない宝物です。この時間では皆さんとともに,健やかな心とからだを大きく育んでまいりたいと願っております。

 ---いわき医療最前線---

 健康で心地よい毎日の為に是非お役立て下さい。

 心とからだのクリニック。今日は,藤田雅士さんをお迎えして,『お薬の正しい飲み方』についてお話をうかがってまいりたいと思います。よろしくお願いします。

 薬は「両刃の剣」と呼ばれるほど、使い方によっては大変危険な物になる可能性があります。上手に使えば非常に有用でも、誤った使い方をすると副作用などの危険性があるのは言うまでもないことです。

 特に最近では、スイッチOTCと言う、病院向けの薬から一般薬になった製品も増えてきましたので、特に注意が必要かと思います。

 薬の飲み方は、病院向けの薬の場合には医師もしくは薬剤師から口頭で説明されたり薬の袋に飲み方が記載されています。

 服薬の目的を理解するには、どのようにしたら良いのでしょうか?
 はい、「症状があるから薬を飲む」と言う意識しか持っていない人は、自覚症状がなくなると服薬を中止してしまうことが大変多く、その為に病気を長引かせたり、あるいは悪化させる原因になっています。

 余談ですが、先頃問題になってきている『多剤耐姓結核』も、こういう中途半端な抗結核薬の服用の結果起こったものです。

 自分がどのような病気であり、何の目的で1つ1つの薬を飲んでいるいつまで飲まなくてはならないかを医師もしくは薬剤師からよく説明を聞いて正しく理解して頂きたいと思います。

 次に、用法・用量についてはどうでしょうか?
 まず用量ですが、普通は「1日3回毎食後に1錠づつ」というような指示が多いかと思います。しかしホルモン剤・利尿剤・喘息の薬などは体のリズムや本来の生理作用・発作時期を考えた上で、毎回服用する量が異なる場合がありますので、ご自分で勝手に用量を変えない様にしてください。

 たとえば、朝・昼服用の利尿剤を夜飲みますと、夜中頻繁にトイレに行くことになりますし、喘息の薬を服用中の人が、もう苦しくないからと言って半量にしたりすると、薬を飲んでいるにもかかわらず発作が出てしまう場合もありますし、また、指示された用量より多く服用することによって副作用や中毒を、引き起こすこともあります。

 服用方法について詳しく教えてください。
 1日1回から4回まであります。

 1日1回服用は、『朝・朝食前』『空腹時・夕食後』『夜・寝る前』とあります。

 『朝服用』する薬剤には、利尿薬・強心薬・甲状腺治療薬・副腎皮質ホルモン薬などがあり、利尿薬・強心薬は夜間服用すると頻繁にトイレに行くことになり安眠の妨げになり、症状が悪化するおそれがある為に、朝服用しますし、 甲状腺治療薬・副腎皮質ホルモン薬も、午前中の血中濃度が高い時のほうが自然の生理により近い為です。

 次に『朝食前、空腹時』服用する薬剤には、リファンピシン、食後過血糖改善剤、速攻型インスリン分泌促進剤などがあり、リファンピシン(抗結核薬)は、3回に分けて服用するより、空腹時1回服用の方が吸収が良いからです。また、食後過血糖改善剤、速攻型インスリン分泌促進剤は、食事の影響を受けるので食直前の投与が不可欠です。

 最後に『夕食後・夜・寝る前』1回服用する薬剤ですが、精神安定剤・睡眠鎮静薬・抗ヒスタミン薬・筋弛緩薬などの眠くなる薬や眠る為の薬などがあります。また、喘息は、夜間や明け方に発作が起きやすいために夜の服用が効果的ですし、便秘の場合も寝る前に服用すると朝に薬効が現れ、自然の生理に近いです。

 次に1日2回服用の場合ですが、『朝・夕食後』、とか『朝食後・寝る前』、または『朝・昼食後』等がありますが、通常の薬は、『朝・夕食後』の服用が多いですね。H2ブロッカーなどは胃酸の分泌を抑える働きがあるものは『朝食後・寝る前』に服用いたします。先程お話しました利尿薬などでも1日2回服用の場合ですと『朝・昼食後』になります。

 1日3回の服用の場合は、『1日3回毎食後』『食直前』『食間』『食前』があり、通常の薬は『1日3回毎食後』となります。しかし空腹時に用いると胃腸障害を起こしやすい薬剤、例えば鎮痛消炎剤のインドメタシンなどは『食直前』になります。

 また、空腹時よりも食事摂取時に服用する方が吸収がよく効率が良いものは『食後』となるものもあります。代表的なものとしましては、抗真菌薬のグリセオフルビン、抗てんかんの薬のカルパマゼピン、フェニトイン、不整脈や降圧薬のプロプラノロール、ビタミンB12のリボフラビンなどが挙げられるでしょう。

 1日3回『食間』に服用ですが、これは食後2時間位あとの空腹時のことをいいます。このように服用する薬剤には、腸溶剤、制酸剤、ニューキノロン系と呼ばれる抗菌剤、テトラサイクリン系の抗生物質などがあります。腸溶剤はなるべく早く腸に入り吸収されるのが望ましいく、制酸剤は、空腹時に塩酸、ペプシンなどの潰瘍誘発因子が働くためです。また、ニューキノロン系の抗菌剤やテトラサイクリン系の抗生物質などは、食事により吸収低下などの影響を受ける為、食後服用を避けたほうが望ましいです。薬にはそれぞれの特有の性質があります。

 1日3回『食前服用』は、食事30分位前を目安に服用してください。空腹時の方が吸収がよく食事により起こる症状などに備える薬などがこの服用方法をとる事が多いといえます。これらに属する薬としては、狭心症治療薬・糖尿病治療薬・それに漢方薬などがあげられます。狭心症治療薬は、狭心症の発作が食後に起こりやすいという理由から、食前に服用することが望ましく、また、糖尿病治療薬は、血糖値を抑えるため、食前に服用します。10分前服用でも、食後の血糖上昇を抑えるという報告もあります。さらに、漢方薬は空腹時の方が吸収が良いので食前服用を心掛けていただきたいものです。

 1日4回という薬は毎食後と寝る前に服用します。抗生物質は一定の血中濃度維持の目的から6時間ごとに服用します。睡眠を妨げないよう起きている時間内で、割り振る事が多いようです。

 隔日服用する薬、週1回または週2回など服用する薬剤には、副腎皮質ホルモン薬・抗悪性腫瘍薬・抗結核治療薬・強心薬・利尿薬などがあります。

 これらの薬剤で薬が効きすぎる場合、副作用が強い薬、蓄積性のある薬の場合、週1回または週2回など服用します。

 それでは、お薬の正しい保管についてお伺いしたいと思います。
 薬は大変デリケートなもので、メーカー・卸・病院・薬局でも厳格に管理、保管しています。医師に処方された薬で特に指定のない場合は、室温保存ですね。1度から30度位をいいます。座薬や点眼薬の一部には冷蔵庫に入れて保管するように指示されている薬があります。また、自己注射のインスリン製剤も冷蔵庫で保存します。

 光によって分解しやすい薬は、遮光といって光が通らない場所や容器に入れて保管する必要があるものもあります。

 町の薬局で買った薬には箱や瓶に有効期限が記載されています。そのような薬で期限の切れたものや医師に処方されて飲み残した薬で、1年以上経過している場合には、思い切って捨てることが必要です。

 決められた保存方法で保管されていなかった薬や有効期限の過ぎた薬は、薬としての量がどの位残っているかは科学的に試験しなければわかりません。そして、分解され有効成分が減った代わりに分解産物が不純物として有害な作用を及ぼすかもしれないからです。

 ありがとうございました。