出演者 長嶺 雅明  1999.08.29
 今日の心と身体のクリニックでは、ピルについてお話を伺ってまいります。今年の6月から9年の審議を経て、日本でも低用量ピルが認可されたということですが、前回は、種類ですとかそういった問題についてお話いただきましたが、今回は実際に服用したり、服用の注意点等についてお話を伺いたいと思います。それでは、まず服用について教えてください。
 月経の第1日目から飲み始めるものと、月経が始まった最初の日曜日から飲み始めるものの2種類があります。いずれの低用量ピルもほぼ毎日一定の時刻に飲むことが大切です。飲みやすく、覚えやすい時間を決めましょう。例えば就寝前など、毎日の週間にするとよいでしょう。飲み忘れは、妊娠する可能性及び不正性器出血を引き起こす可能性を高めます。
 それでは、ピルを飲み忘れてしまったらどうしたらいいのですか?
 低用量ピルを飲み忘れた回数が多くなるほど妊娠の可能性は高くなりますので、まずは、前提として飲み忘れをしないことが必要です。

 1日だけ飲み忘れただけであれば気づいたときに直ちに飲み忘れた錠剤を服用し、その日の分も通常通りに服用してください。つまり、その日は2錠を服用することになります。

 2日以上連続して飲み忘れてしまったら、そのシートの残りの錠剤を飲むことをやめて、次の月経を待って新しいシートの錠剤を飲み始めてください。その際、低用量ピルには、”第1日目”から飲み始めるものと、”月経が始まった最初の日曜日”から飲み始めるものの2種類あるので、服用者添付文書に記載された飲み方にしたがって飲み始めてください。

 なお、次の新しいシートを飲み始めるまでは妊娠する可能性がありますので、他の方法で避妊してください。

 飲み忘れは、1日だけなら大丈夫ですけど、2日以上連続して飲み忘れは要注意ということですね。それでは、どの位の期間飲み続けるのですか?
 一般的には、飲み続ける期間に制限はありません。どの位の期間にわたって低用量ピルを飲むかということについては医師と相談してください。
 それでは、低用量ピルはどのように保管したらよいのでしょうか?
 高温・多湿や強い光に長時間さらされると効果が弱まることがありますので、温度や湿度が高くなく、直射日光の当たらない場所に保管してください。また、子供の手の届かない場所に保管してください。
 低用量ピルには、副作用があると聞きましたが、どういったものでしょうか?
 低用量ピルを飲みはじめると、最初は体がなれない為、吐き気やみかつき、乳房の痛みなどの症状がおこることもあります。ただ服用を続けるうちに体が慣れ、症状は次第にあらわれなくなるでしょう。

 しかし可能性は低いものの重大な副作用がおこる場合もあります。特に血栓症、脳卒中、心臓発作については、”まえぶれ”となる症状がございますので、症状が認められたらすみやかに医師に相談し、適切な処置をしてもらう必要があります。飲んでいる期間中に次のような症状がみられましたら血栓症のまえぶれとなりますので、注意してください。

 ふくらはぎの痛み・むくみ、手足のしびれ、するどい胸の痛み、突然の息切れ、胸部を押しつぶされるような痛み、激しい頭痛・めまい・失神、視覚、目のかすみ、舌のもつれ等の症状がみられたら、かかりつけの医師に連絡し指示をあおいでください。

 あと、他の副作用として、乳ガンや子宮ガンになりやすいとききましたが・・・?
 ある調査によりますと、低用量ピルを飲んでいる人が乳ガンになる可能性は、飲んだこと無い人に比べて1.24倍になると報告しています。しかし、飲むのをやめてから乳癌になる可能性は、中止後1〜4年の人で1.16倍、5〜9年の人で1.07倍、10年以降の人で1.01倍であり、飲んでいるときに比べて低くなっています。

  子宮ガンにつきましては、大きく分けて子宮内部にできる子宮体癌と子宮の入口にできる子宮頸癌があります。WHOは低用量ピルの服用は子宮体癌になる可能性を減少させるが、子宮頸癌との関連性については性交渉の開始年齢や出産歴などの影響もあり明らかではないと報告しています。

 また、別の調査では、低用量ピルを飲んだことのある人が、子宮頸癌になる可能性は飲んだことの無い人に比べて1.4倍になると報告しています。日本を含むアジア諸国では、女性の癌の中で子宮頸癌は多いとされていますので注意が必要です。

 それから、もう1つの副作用として一般的に耳にします”ピルを飲むと太る”というのはどうでしょうか?
 ほとんどの場合そのようなことはごさいません。
 では、その他の注意点をお尋ねします。月経周期が不規則な人でも服用しても大丈夫でしょうか?
 大丈夫です。低用量ピルは、月経周期を正常に調整する効果が高く、他にも経血量が少なくなったり、月経時の不快感が減少するといった副効用があります。従って、月経不順の方、月経痛の激しい方、月経の始まる前に不快な症状を訴える女性には、むしろ良い効果をもたらすといえます。但し、服用中止後は、再び月経周期が不規則になる可能性があります。

 月経は健康のバロメーターですから、低用量ピルの服用の有無に関わらず、月経が不順な方は医師にチェックしてもらうことをお勧めします。

 では、喫煙している方が低用量ピルを服用するのはどうでしょう?
 低用量ピルを飲んでいる期間中にタバコを吸うと、心筋梗塞・脳卒中つまり血管がつまるなどの副作用がおこりやすくなることが知られています。症状が重い場合は命にかかわることもあります。これらの副作用は特に35歳以上の人が1日15本以上タバコを吸うと増加すると言われています。したがって、このような方が低用量ピルを飲むことはできません。
 喫煙している方が低用量ピルを服用すると心筋梗塞や脳卒中などの副作用がおこりやすいというのは怖いですね。それでは、この他に服用してはいけない人というのはいるんでしょうか?
 はい。原因不明の性器出血のある方、妊娠してる方、あるいはしてる可能性のある方、それから授乳婦の方は、服用することができません。他にも色々服用できない方もおりますので、医師に相談してください。
 それから、ピルを飲むときに一緒に飲んではいけない薬はありますか?
 薬の中には低用量ピルの避妊効果を低下させるものがあります。結核の薬やてんかんの薬、ある種の抗生物質などが代表的なものです。低用量ピル以外の薬を飲む必要がある場合には低用量ピルを服用していることを医師または薬剤師にお話ください。
 それからピルを服用中に定期的に検査を受ける必要性はありますか?
 低用量ピルの添付文書では、服用前には服用者本人の他に家族の病歴や月経、妊娠分別歴や避妊歴などについての問診のほか、血圧測定、乳房検査及び臨床検査等を受けること。

 また長期間服用する場合は、服用後3ヶ月ごとに問診を中心とした診察を、6ヶ月毎に問診を中心とした診察の他に性感染症の検査ですとか、血液検査などの臨床検査を1年に1回は子宮頸部を始めとした子宮頸部細胞診の検査を受けることを勧めいます。

 定期的な検査を行うことによって、血栓症や乳癌、子宮頸癌だけでなく他の多くの病気を早期発見・予防するのに大変役立ちます。

ありがとうございました。