出演者 関 洋美  1999.07.25
 今日の心と身体のクリニックでは、食中毒についてお話を伺ってまいります。これからだんだん蒸し暑くなってきますと、食品が大変傷みやすくい状況になりまして、食中毒の心配がかなりあるのではないかと思いますが、今日は具体的にお話を伺いたいと思います。

 さてまずは、食中毒についてちょとお話をいただけますでしょうか?

 食中毒とは食べ物や飲み物を摂取することによって起こる急性胃腸炎のことで、食品衛生法では『食品・食品添加物・器具もしくは容器包装に起因する健康障害』となっています。
 食中毒になる原因を教えてください。
 1つ目に「カビ・寄生虫など病原微生物が食品中に混入して起こる細菌性食中毒

 2つ目に「ふぐ・毒キノコ・トリカブトなどのように動物性・植物性の自然毒による食中毒

 3つ目はメタノールやヒ素・シアン化合物など化学物質による食中毒

などの3つの原因があります。この中でも1つ目の細菌性食中毒は皆さんが良くご存知の0ー157などが90%以上が食中毒の原因を占めています。

 はい。食中毒には3つありまして、細菌性食中毒や自然毒による食中毒。そして化学物質による食中毒があるということですが、この「ヒ素」ずいぶん話題になってますよね。こちらも食中毒ということなんですか?
 そうですね。化学物質による食中毒になりますね。
 それでは、0ー157など一番私達の身近にあります細菌性食中毒の特徴と主な症状について教えてください。
 細菌性食中毒の細菌の特徴は、食品の中で増殖することですが、私達が口にしている食品にはさまざまな細菌が付着していますが食品を介して体内に入った細菌は胃酸などによって殺菌されてしまいます。胃を通過して腸に達しても無毒化されてしまうものがほとんどですが、人の抵抗力を乗り越えて食中毒を起こさせる病原菌は『感染型・毒素型』の2種類に分けられます。

 感染型の原因菌の中には、魚介類を介して食中毒を起こす腸炎ビブリオこれは食塩を好む性質を持っています。卵や鶏肉を介して食中毒を起こすサルモネラなどがあります。

 毒素型には食品内毒素型として、人のノド・鼻・皮膚・腸管内に常に存在しているブドウ球菌これは化膿菌ともいわれてますが、そういうものによって起こされる食中毒。またボッリヌス菌などのように、食品に付着した原因菌が食品内で増殖してその時に産生する毒素を人体内に取り込むことによって起こる原因菌があります。それから生体内毒素型としては、昨年大流行したベロ毒素を産生する腸管出血性大腸菌O−157などがあります。

 細菌性の食中毒の具体的な中毒名と原因になる食品や症状などについて教えて頂きたいと思います。まず、サルモネラ食中毒というのがありますがこれはいかがてすか?
 原因になる食品としては主に卵や鶏肉などがあります。中毒症状は高熱が出まして、腹痛や水様便の下痢が続きます。だいたい1週間程度で回復しますが、症状としてはひどいようです。予防としましては、清潔に保存し、冷蔵庫に入れていたとしてもできるだけ加熱して処理することによって防げます。
 はい。その他にどんな食中毒の菌がありますか?
 ブドウ球菌といって化膿菌ですが、手や指などに化膿巣があるのに気づかずに調理などした場合に化膿菌が食品と一緒に摂取することによっておこる食中毒になります。
 よく学校給食なんかで問題になったりしますよね
 それでこれは発熱などはほとんどないんですが、激しい吐き気や腹痛があります。予防するのにはやはり手や指などに化膿などがある場合には食品を扱わないことが必要ですし、この菌は熱にも強い菌ですので少しくらい加熱したからと言って予防することが出来ませんので、やっぱり手や指に傷があるときは注意したほうがいいと思います。
 それから、命までとってしまうといわれてます怖い菌がありますが。[ボツリヌス菌]はどんな食中毒ですか?
 これは、ニシン・ハタハタ・アユなどの「いずし」と呼ばれる保存食品によるものが多いんですが、これは、偏性嫌気性菌といって酸素があっても無くても、どにかく真空パックでも生存できるという菌なんです。ですからこれは怖い菌で、死亡率25%位ありますので気をつけてください。
 この中毒症状というのはどういったものですか?
 こちらはですね、悪心・嘔吐等の胃腸症状があったり、斜視と言って目が見えにくくなる視覚障害、ろれつががまわらない等の言語障害、嚥下障害といって物を飲み込めなくなるような運動麻痺などがあり、最もひどいのが呼吸麻痺によって死にいたることもあります。
 魚介類や野菜は十分に洗浄するとか、加熱するとか必要ですね。その他にはありますか?
 それからですね、小型球形ウィルスなんかによるものがあります。これはどちらかというと小さい子供さんに多いですね。原因物質としては食品中では増殖せずに人の腸内で増殖し排便とともに排出されてそれが水を汚染して再び人の口に入ると思われ、主に貝類が原因といわれています。この場合、吐き気・下痢・腹痛があって頭も痛くなったりします。そして、発熱などもみられます。これはどちらかというと大人の方より子供さんに多い症状のようですね。ですから、貝類などは、十分に加熱することですね。
 それでは最後になりますが、話題になりましたO−157についてご説明お願いします。
 こちらは腸管出血性大腸菌ですね、O−157といわれてますが、原因物質としては牛肉・ハンバーグ・生野菜などに多く存在してます。これは、出血性の下痢、ベロ毒素によって水溶性の下痢とか嘔吐とかありまして小さい子供さんや老人の方には溶血症の尿毒症や脳症を併発して死にいたることがあります。この場合にも十分に加熱調理して予防できますのでやはりこれからは、きちんと加熱することが大切です。 
 様々な食中毒の症状などについて伺ってまいりましたが、現在いわき市での食中毒の発生状況を教えていただけますか?
 この放送のために、保健所さんに行ってデーターを頂いてきたんですが、福島県内では、昨年・平成10年の細菌性食中毒は13件位で患者数は1553名。それから植物性自然毒が11件で54名。あと原因が不明な食中毒が4件位で、444名の方が食中毒にかかているということです。

 どういうところで起こっているのか調べて見ましたら営業関係、飲食店や旅館などが11件で患者数が578名。それから学校や寄宿舎などの給食とかでおこったのが4件で1262名。これは集団ですので数が多いですね。それから、食品販売店。これはキノコとかで3件で162名。最後に一般家庭では10件の49名ということですね。

 それからO−157なんですが、今年はまだ単発的にはあるみたいなんですが、去年の1月から10月の間で県内では7名の方が中毒にかかって入院された方が4名で県内での死亡はありませんでした。全国では1162名の内入院されたのは533名。死亡が1名ということですから昨年に比べるとずいぶん少なくなっていますね。皆さんだいぶ注意して加熱調理なさっているようですね。

 いわき市においては、平成元年から10年までの食中毒発生件数は大体30件位あったそうです。それで1326名の方が食中毒にかかったようですね。全国的に夏場の7月から9月に発生割合が高くなっていますが、9月に一番発生率が高くなっています。これは9月は夏場よりも油断してしまうことにが多いようです。会津地方では、10月から11月に植物性毒・キノコなどによる中毒が多発しています。

 これからジメジメした季節がありまして、それから暑い夏がやってきて、食べ物が傷みやすい時期になってきますが食中毒にならない様にどのように予防したらよいのか教えてください。
 そうですね、食中毒の感染経路は主に水と食品の摂取によるものが多いですから予防としては食中毒の発生が高温・多湿になる6月から10月がピークになってますので、菌の増殖を盛んにさせる季節ですので、ブドウ球菌は例外ですが、ほとんどの菌は熱に弱いので十分に加熱調理すること、生で食べるものは水でよく洗い流すこと、また残り物の保存にも特に気をつける必要があると思います。

 また、手に傷などがあると、ブドウ球菌の産生原因になりますので薄いビニール手袋をかけて調理することなど調理面でも注意が必要になります。子供さん達も外から帰ったら必ず石鹸で手を洗う習慣をつけるようにすればいいと思います。これは砂場で遊ぶと爪の間にギョウ虫などの寄生虫の卵がつく場合があります。意外と小さい子供さんの間では多いですので注意してください。

 それから浸入してきた細菌に勝つ為には、健康で抵抗力・免疫力のある体を作っておくことが大切であります。睡眠を十分とって抵抗力をつけること、また私達のまわりに昔から生活の知恵で使っている、お刺身を食べるときに生姜やシソ・ニンニクを薬味として使ったり、夏場とかにおにぎりに梅干を入れたりして腐敗を防ぐと同時に殺菌力のあるものなどを上手に食生活に取り入れて行けば良いのではないでしょうか。

ありがとうございました。