出演者 松本善政 1999.02.27

守りたい人がいます。守りたい明日があります。その為には健康であることが一番。 「社団法人いわき市薬剤師会」は皆様の健康な生活をしっかり見守っています。守りたい人がいます。守りたい明日があります。その為には健康であることが一番。

 「社団法人いわき市薬剤師会」は皆様の健康な生活をしっかり見守っています。

“心と体のクリニック”今日は、いわき市薬剤師会の松本善政先生にお話を伺います。 聞き手は、さかもとみちこです。今日の“心と体のクリニック”。 社団法人いわき市薬剤師会の松本善政先生にお話を伺って参ります。宜しくお願い致します。

はい。宜しくどうぞ。
今日はですね「カルシウム」についてのお話をいただけるということなのですが、このカルシウムは、名前は聞くのですが、いろいろと知らないことがあるので、今日は宜しくお願い致します。

今日はですね、皆さんが良く知っているカルシウムについて、あらためてお話したいと思っております。

 カルシウムはですね。毎年厚生省より、国民栄養調査の結果が発表されていますが、カルシウムだけが常に不足であるというかたちで出てきます。これには、理由が二つあると思うのですが、一つには日本の土壌が欧米諸国に比べて一般的にミネラル群の含む量が非常に低いということがあげられます。もう一つは、カルシウムを豊富に含み、その吸収率の良い牛乳や、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品の利用率が欧米に比べて約3分の1から4分の1しかとっていないという現状があります。

そうですか。カルシウムを私達は心がけてとっているような気はするのですが、それでもまだ足りないということなのですね。

 それでは、この私達がとったカルシウムですが、体の中ではどのように使われているのでしょうか?
はい。まず、カルシウムの体内の分布としまして、骨や歯に99%、細胞内や血液に1%使われております。そして、カルシウムはですね、いわゆるミネラルとして体内では最大の量を誇っておりまして、約60kgの人の場合は1,200gになっております。体の中の作用としましては、99%は骨格や歯に含まれて、内臓の保護や、体を支えるといった役目がありますけれども、残りのたった1%が体液に存在しております。しかしですね、体液のこの1%が私達の生命を維持する為に非常に欠かすことのできない重要な働きをしております。ちょっと難しいですけれども、細胞の分裂・増殖・収縮・運動・凝集・分泌・代謝・興奮・免疫など、細胞機能のあらゆる面で、すなわち受精から分娩、神経による情報の伝達、筋肉の収縮、ホルモンや抗体の合成・分泌、生理作用の調整するものとしてカルシウムは重要かつ不可欠であることが知られております。
本当にいろいろな分野でカルシウムが活躍しているわけですね。
そうですね。例えば、もう少しわかりやすく言いますと、出産に関係はしますけれども、精子というのは、カルシウム作用によって運動しまして、卵子に達しまして、カルシウムの信号によって細胞分裂を行って、新しい生命が誕生するわけです。そして、カルシウムの信号によって子宮の筋肉を収縮して陣痛がおき、そして赤ちゃんが産まれるというかたちになりますね。私達は生まれてくる最初に既に、カルシウム作用の恩恵を受けてきております。先程ですね、生理作用ということをお話しましたけれども、それを不足したときどうなるかということになると思うのですが、例えば動脈硬化、血行不良などによりまして、高血圧とか心筋梗塞、心不全、狭心症、肩凝り、脳血管痴呆、頭痛などの症状がおきてきますね。それから、皮膚とか粘膜に対して保護・修正という働きもありますし、また、アレルギー体質にもなりやすくなります。その結果としまして、慢性失神、喘息、気管支炎、鼻炎、化膿しやすくなるといった症状がでてきます。

そして、免疫を作る働きがありまして、その免疫に以上がおきてきますと、まず、病気が治りにくくなってきたり、風邪をひきやすくなったり、体のだるさが取れなかったり、肺炎や気管支炎、肝臓病、リウマチから癌まで関係してくると言われております。 そして、もちろん、骨がもろくなったりしますから、それと同時に筋肉の働きも鈍くなるので、みなさん良くご存知の骨粗鬆症(骨がすかすかになってしまう症状)や、それから関節の痛み、腰痛、発育不良、胃下垂、他に虫歯などもそうですね。それから、ホルモンの以上、体内酵素の異変、それによって低血圧、不妊症、更年期障害などがでてきます。そして、最後に、神経の以上によって、ヒステリー、ひきつけ、神経衰弱、ストレスで怒りっぽくなったり、自律神経失調証などがおきてきます。つまり、不足すると、多種多様な形で影響を与えてくるのがカルシウムと考えて良いと思いますね。

どうしてもカルシウムといいますと、骨が弱くなってしまう、転んだら骨が折れてしまうのではないかということで、心がけてカルシウムを取ろうと思われがちですが、これほどまでに、人の体にカルシウムが不足することによって影響がでるとは、わかりませんでした。
まず、皆さんの考えているより、深く我々の体に関わっているのではないかと思っております。
はい。そうすると私も、かなりこちらの症状をお伺いしまして、この風邪をひきやすかったりとか、体がだるいとか、そういった事もカルシウム不足に原因があったのかもしれないと思うのですが。逆にこのカルシウムが充実していると、体はどのような状態になるのでしょうか?
はい。例えば、良く眠れるようになりますし、若さを保つこともできますし、スタミナもでてきますね。もちろん、病気の回復も早くなります。そして、長寿でありますからね、非常に長生きやすくなりますし、なお且つ、血管が赤くなってくる。こういう形で現れてきます。
今日の“心と体のクリニック”。「カルシウム」についてお話をお伺っております。さて、松本さん、私達のカルシウムについての認識、意外と誤解されていることが多いそうですね。

そうですね。割とそういった感じを受けることがありますね ここで、私の方から、質問してみましょうか。 牛乳を必要量飲んでいればカルシウムは十分足りると思いますか?

 

そうですね。牛乳と言いますと、カルシウムというイメージがありますので、必要量を飲んでいればカルシウムは随分間に合うのではないでしょうか。
それが本当とは言えないのです。これは何故かといいますと、牛乳はカルシウムを十分含みますし、その点に関しては非常に良いのですが、牛乳に含まれる蛋白質がカルシウムを消耗するという働きを持っているのです。
蛋白質が含まれていることによって、カルシウムが消耗してしまう?
もっと、わかりやすい言葉で言いますと、例えば、卵がありますよね。卵は完全食といわれているようなものかもしれませんが、卵を一個食べますと、卵の殻の相当するカルシウムというのは約500mgといわれていて、それが消耗してしますのです。
体の中にあるカルシウムが、卵を食べることによって減ってしまうということなのですか?
はい。使われてしまうのです。
それは、初耳でした。
はい。そういった面がありまして、牛乳に関しましても、カルシウムは取れるのですが、その消耗される面もありまして、必要量だけでは十分取れないということが実際わかっているのです。
なるほど、牛乳の他にもカルシウムを取れる何かを取らなくてはならないということですね。

そうですね。 それでは、次にですね。小魚を毎日食べているのでカルシウムは十分足りているという方がいらっしゃいますが、これはどう思われますか?

これは、小魚はやはり、カルシウムが十分含まれていると思いますので、小魚を食べていれば大丈夫だと思います。

はい。これも十分とは言えないのです。

 これも、小魚はカルシウムをたくさん含みます。これは間違いないですね。先程も言いましたように、カルシウムと同時に蛋白質というものが入っていまして、蛋白質というものの中にはですね、腸管からカルシウムを吸収する働きと、尿中にカルシウムを排出する働きと二つあるのです。それは、少し詳しく言いますと、アルカリ性の蛋白と酸性の蛋白がありまして、その度合いによって実は、排出したり、吸収したりする関係で、なかなかスムーズに取りきれない面があって難しいのです。
なるほど、これも以外でしたね。
それではですね、食べ物からのカルシウムの吸収率は大人も子供も一緒だと思いますか?
これはやはり、同じ量が含まれているので、同じ分だけ取れるのではないかと思うのですが。
はい。これも実は、ウソにあたりますね。
これも、ウソですか!
何故かと言いますと、赤ちゃん、それから大人の方、それから老年期に入った年代の方、妊婦さん、こういった様々な年代によって吸収率が違っているのです。
例えば数値としてはどのくらいの形になるのでしょうか?
そうですね。例えば赤ちゃんですと、取ったカルシウムの5060%は吸収されますね。だんだん成人になりますと3035%に落ちてきます。まして、60代を過ぎますと1015%しか食事からとったものが吸収されないということになります。
そうしますと、中に含まれているカルシウムの一割程度しか、お年寄りの場合吸収できなくなってしまうわけですか?
そうなんです。ですから、食事から取るのは至難の業となってしまうのですね。では、このような質問はどうでしょう? 骨は、絶えず入れ替わっているのかどうか、これはどう思いますか? 
入れ替わる?何となく、骨は育っていくような気はするのですが、徐々に年を取るごとに育ってはいっても、入れ替わるということはないのではないかという気がするのですが。
はい。これはですね、入れ替わっているのです。
これは入れ替わっているのですか!
そうなんです。ちょっと、外見上は信じられないかもしれませんけれども、出来上がったらそのままという訳にはいきませんので、絶えず、新陳代謝を繰り返しています。
骨も新陳代謝をしているのですね。
はい。骨を壊す細胞というものと、骨を作る細胞というものがありましてね。それが「壊し」、「作り」と繰り返していますから、およそ骨が入れ替わる為に3ヶ月かかると言われていますね。
3ヶ月ですか
はい。ですから、折れた骨がくっつくというのは、その為なのですね。
なるほど、入れ替わって、新しい骨になっていた訳ですね。
そうですね。それでは、植物繊維を食べるとカルシウムにとってプラスになるのか、マイナスになるのか、どちらだと思いますか?
食物繊維といえば、本当に万能の食品という気もしますので、これは、プラスにしか働かないのではないかというイメージがあるのですが。
これは、実はマイナスになることが多いのです。これも結局、食物繊維があることによりまして、カルシウムが吸着されてしまうのです。
カルシウムが食物繊維とくっついてしまう。そうすると、実は一緒に出ていってしまうという事ですね。
はい。その傾向がありまして、実はマイナス傾向になってしまう訳ですね。
そうすると、やはり体の為には食物繊維もとらなくてはと思うのですが、取りすぎはいけないという事になるのですか?
取りすぎはちょっと大変かなという気がしますね。
なるほど、何事も適量というのが、一番大事ということなのでしょうか?
はい。そうですね。
それでは一体、カルシウムを効率良く取るには、どのような食事を心がければ良いのでしょうか?
はい。幼児から成人の方の場合はですね、食事というのは非常に重要となりますから、乳製品や、野菜、海草類といったカルシウムを十分に含むようなものを取るということが基本にありますよね。それと同時に良く噛んで取ってもらいますと、吸収率があがります。
噛む事によって、吸収率が上がっていく訳ですか?
はい。そして、お年寄りの場合はですね、たくさん食べなさいといっても食べる事ができないということと、吸収率が悪いという事がありますから、食事の後にカルシウムの製品のようなものを取ってもらいたいですね。
なるほど、栄養を補給する為の食品などが出ておりますので、そういったもので補ってもらうのが良いという事ですか?
はい。それが一番良いかもしれませんね。そのような時は、食後すぐにですね、乳製品というか、カルシウム剤を取ってもらうと、胃酸で解けやすくなりますから、吸収率が上がるという事が一つありますよね。
では、のべつまくなし食べるということではなくて、吸収効率を考えると、食事の後胃酸が出ていますので、その胃酸にからめてというような形になるわけですか?
そうですね。それから、もう一つはですね。カルシウムというものを体内に吸収させる為にビタミンDというものがありまして、これは日光浴によって、自分の体の中に作る働きがあるのです。その、日光浴をするという必要があります。
日光浴をすると、カルシウムの吸収を助けてくれるという訳ですね。
そうなんですね。そして、特にお年寄りの骨粗鬆症を防ぐ為にですね、適度な運動が必要ですね。
運動も必要になる訳ですか?
はい。骨というものはですね、過重といって、かけないと骨が硬く太くにならないという性質があるものですから、運動することによって骨が太くなるという働きをしますので、適切な運動も必要ではないかと思いますね。
はい。それでは、カルシウムを効率よく私達の体に取り組むには、まず、バランスの良い食生活、そして、お年寄りに関しては、補う食品も使うという事ですね。そして、日光浴をするという事と、適度な運動、これが大切だということでしょうか?
そうですね。その通りだと思います。
はい。わかりました。今日はいわき市薬剤師会の松本義政先生に「カルシウム」についてお話を伺って参りました。今日はどうもありがとうございました。
ありがとうございました。
“心と体のクリニック”今日は、いわき市薬剤師会の松本善政先生にお話を伺いました。