出演者 本多和則 1999.01.23

   本日の内容ですけどコレステロールとフレンチパラドクスと言うことですがコレステロールと言う言葉は定期検診の項目とか,成人病の原因になっているということでよく耳にすることはありますが,もうひとつフレンチパラドクスのほうはちょっと聞きなれないんですけど。

   そうですね。しかしここでひとつ。成人病と言う言葉は今ではあまり使われなくなっています。今まで成人病と言われていた疾患は,成人,中でも中高年層に多い病気でしたが,最近では若年層にも目立ってきており,その呼び方も生活習償病と呼ぱれるようになってきました。さて,フレンチパラドクスについては,後程ご紹介するとして、まずコレステロールについての話からはじめましょう。コレステロールは今ご紹介した生活習慣病の原因ともなる物質として,健康診断のときなどは非常に気になる項目ですね。その値は低ければ低いほどいいようにも感じられがちですが,一方でコレステロールは,体にはなくてはならない重要な物質でもあるのです。コレステロールは体内の細胞を構成したり,エネルギーのもとになったりと,我々の生活には必要不可欠ともいえます。ただ,あまりにも過剰になってしまったり、上手に利用できなかったり、すると、血管中で悪さを始まるのです。

   どういう悪さなのでしょうか。

   死にもつながるような恐ろしい悪さなのですが,善玉コレステロールとか悪玉コレステロールと言う言葉をご存知ですか.

   はい最近よく聴きますが。

    そうですね。コレステロールには善玉コレステロールと言われるHDLと悪玉コレステロールと言われるLDLとがあります。この悪玉コレステロールであるLDLは体内で過剰になると,血管の内側に侵入します。その後,血管内で酸化を受け酸化LDLとなります。この酸化LDLは血管の内側に結合しやすいため,どんどん血管内膜に沈着していきます。その結果,血管細胞を傷害したり,機能を低下させたりします。そしてなにより,酸化LDLは,血管壁に沈着することで血管を狭くし,血液の流れを悪くしてしまうと言う悪さを働きます。

   そうすると体に本当に悪いのは,酸化LDLなんですね。

   そうです。体にあまりよくない影響を与えやすいのは,LDLの中でも酸化LDLでこの酸化LDLは真の悪玉コレステロールとも呼ばれています。

 そうすると悪いのはLDLだけなのでしょうか。

 はい。善玉コレステロールと呼ばれるHDLのほうはむしろ体にはたくさんあったほうがいいのです。HDLとLDLを足した数が総コレステロール数と言うわけですが,HDLは体内では悪玉コレステロールと呼ばれるLDLを下げるほうに働きます。ですから善玉コレステロールと呼ばれるわけです。

 ところでこの悪玉コレステロールであるLDLが体にたまるとどういう病気になるのしょうか。.

 はい コレステロールが中でも、LDLが体内に過剰になってしまった状態を高コレステロール血症といいますが,この高コレステロール血症は虚血性心疾患と言った類の心臓に関する病気を引き起こしやすくなります。また,高コレステロール血症は2次的に、糖尿病や高血圧などの生活習慣病,以前成人病と言われていた病気を引き起こしやすいとも言われています。

 虚血性心疾患とはどういう病気なのでしょうか。

 はい。虚血性心疾患とは主に,動脈血管の異常、特に心臓につながる冠動脈と言う血管の異常によって起こる病気で、狭心症や動脈硬化などをいいます。これらの病気は、死にもつながる心筋梗塞の原因などとなり、大変怖い疾患です。

 コレステロールは非常に怖い病気の原因なんですね。自覚症状にはどのようなものがあるのでしょうか。

 ほとんどありません。倦怠感、だるさ、むくみ、などが症状と言われてはいますが、これらの症状からコレステロールが高いと感じる人はほとんどいません。だからこそ恐いのです。気付かないうちに血液中にLDLが蓄積し血管がどんどん傷んでいきます。そうならないためにも定期的に検査を受けることをお勧めいたします。

 検査と言うと時間や費用など、何かと心配になってきてしまいますが、どの様な検査を受けるのでしょうか

 いえ、高コレステロール血症や糖尿病などの生活習慣病の多くは、簡単な血液検査で知ることができます。その他、定期検診などの健康診断にもコレステロールの項目はあると思いますので、よく見てみてください。最近ですと検査結果の項目のところに正常範囲が書いてあるものも多い様なので、是非参考にしてみてください。ご自分のどの項目が正常範囲外なのかは、比較的わかりやすいと思います。

 何気なく見過ごしてしまいがちな検査結果も、これからはもう少しよく見てみようと思います。

 はい。どの様な病気でもそうなんですが,ちよっとした検査でその前兆がわかることがよくあるのです。是非早め早めの対応を心掛けたいものです。また,高コレステロール血症を発症しやすい方もおりますので、そういう方は要注意ですね。 

 どういう人が発症しやすいのでしょうか。

 まずは家系ですね。御両親がコレステロールが高いなどという人は体質的にコレステロールが蓄積しやすいという可能性が高いので要注意です。また、食生活の上で高カロリー食を好んで摂られる方も要注意ですね。その他、他の生活習慣病と診断された方も気をつけてください。高血圧、糖尿病などは、高コレステロール血症の原因となることも多く動脈硬化などにつながりやすいので、これも要注意です。そして何より肥満は禁物です。ほとんどの生活習債病の原因となりやすい肥満は、例に漏れず高コレステロール血症の原因にもなります。日頃からカロリーを気にしたり,適度な運動を心掛けたりしましょう。これが1番の予防法であり、治療法です

 ダイエットと同じように感じられますが。

 そうです。コレステロールのほとんどは食事などで摂取する糖を原料として体内で合成されますから、緒分の少ない食事を心がけなくてはいけません。つまりダイエツトと同じカロリーですね。

 それでも改善されない場合は、お薬での治療ということになるのでしょうか

 はい。以前は、高コレステロール血症と言うのは病気としての認識が少なかったのであまり治療薬も少ないと言うのが現実でした。しかし今では、非常に効果のある薬が開発されており服薬による効果は実証済みです。また今後も、製薬会社は各社で、コレステロールの値を下げる薬を開発中ですので、その効果も期待できます。しかし、これらのお薬は全て、処方箋により調剤される薬ですから、ドラッグストアなどの店頭では買うことができません。やはり早めにドクターの診断を受けることが大切になってきます。毎年できれば年に2回くらい簡単な検査を受けるとよいでしょう。どの様な病気でもそうなのですが、早め早めの対応が重症化させないための第一歩です。食事・運動・検査、この辺がキーワードですね。それから今日のテーマのひとつでもあるフレンチパラドクスについてご紹介しましょう。

 あまり耳にしない言葉だと思いますが。

 そうですね,最近言われ始めた言葉かもしれませんね。高コレステロール血症にならないためには、高カロリー食を控えほうがよいということは、理解いただけましたか?

 はい

 つまり肉類や乳製品それに飲酒などは,高コレステロール血症にはあまり好ましくないということなのです。ですが,ョーロッパではちよっとした矛盾が生じているのです。もともと肉類やワイン,チーズなどを日常からよく日にしていたフランス人が,高コレステロール血症が原因と見られる動脈硬化などによる心疾患死亡率が非常に低いと言うことです。この矛盾を一般にフレンチパラドクスと呼びます。最近の新間やテレピ,ラジオなどでも紹介されているようですが,赤ワインにそのカギが隠されているのです。フランス人の食生活で特徴的に多いのは、肉類とワインです。中でもフランス人は、赤ワインを好み、1目コップ2杯程度飲んでいると言われています。もともとアルコールはカロリーが高く、高コレステロール血症には大敵なのですが、アルコールの中でも赤ワインには,虚血性心疾患を抑制する効果があるようなのです

 白ワインではだめなのでしょうか。

 はい。現在までのところ赤ワインのほうが有意に効果があると言われています。その秘密は,実はぶどうの皮と種にあるのでホ。ぶどうの皮や種はポリフヱノールと言う物質を多量に含有しており,このポリフェノールがLDLつまり悪玉コレステロールの酸化を防ぐのです。さきほどありました様に,LDLは体内で酸化されて酸化LDLとなってはじめて真の悪玉コレステロールとなります。そのLDLが酸化LDLとなるのを防ぐ作用がポリフェノールにはあるのです。ぶどうの皮や種を除いて発酵させて作る白ワインに比ベ、果汁や皮や種を一緒に発酵させて作る赤ワインのほうが,ポリフェノールを8倍から10倍も多く含んでいると言われています。

 高コレステロール血症には赤ワインが特効薬と言うことになるのでしようか

 いいえ,そう断定してしまうのはまだ危険なようです。それは,人間の体と言うのは同じように見えても非常に異なる部分が多く,特に人種が違うとアレルギーや代謝などに大きな違いがあると言われています。また,食生活や文化なども日本人とフランス人では異なる部分もありますし,一概にはいえません。しかし,赤ワインに多く含まれているポリフェノールにLDLの酸化を防ぐ作用があるということは確実に言えるわけですから,同じ量のアルコールを摂取するのであれば,ピールや日本酒、それに白ワインよりは赤ワインのほうがよいと言うことが言えますcしかし,いずれにせよ飲みすぎは禁物です。虚血性心疾患を防ごうと思って,急性アルコール中毒になってしまっては,もともこもありませんからね。

 そうですね。そうしますと赤ワイン以外に,赤ワインと同じような効果のある食べ物や飲み物はあるのでしようか。

 そうですね,同じような効果を示す食べ物としては,ビタミン類が挙げられます。LDLコレステロールの酸化を防ぐ,つまり悪玉コレステロールが真の悪玉コレステロールになるのを防ぐ作用があるビタミンとしてビタミンE,C,β・カロチンなどが知られていますcまた動物性脂肪よりは植物性脂肪のほうが,コレステロールが低く高コレステロール血症を防ぐには適していると言えます。その他では,腸管からコレステロールの排泄を促す食物繊維、これは積極的に摂るようにするとよいでしょう。

 では逆に,控えたほうがよい食べ物にはどのようなものがあるのでしょうか。

 まず,コレステロールの高い食品は控えめにしましよう。卵黄,たらこ,レバーこういった食品は摂りすぎてはいけません。卵ですと1日1個くらいが目安になります。また,甘いものはほどほどにしましょう。糖分は先ほどもありましたように体内でコレステロールの合成に役立つだけでなく,善玉コレステロールであるHDLを低下させてしまいます。それから,HDLを低下させてしまうもので忘れてはいけないのがタバコです。タバコを吸うことで善玉コレステロールが低下しますのでできればやめたいものです。さらに先ほどもありましたが動物性脂肪は控えめにしましょう。動物性脂肪には体の中のコレステロールを増やす効果があります。

動物性脂肪よりは植物性脂肪ということですが、そうなるといわき市には,お魚のおいしい所なんですけれどこう言ったお魚類魚介類も動物性脂肪に入ると言うことで,控えなくてはいけないんでしょうかね。

残念ながら一般的にはそういうことになってしまうのですが魚類は,肉類よりはコレステロールも少なく比較的気にすることなく摂取することができます。いわし,さぱ,カレイ,さんま,マグロなどいわきの食を十分に満喫してください。また,同じ海のものでも海嚢類には繊維質も多く,積極的に摂ることをお勧めいたします。その他,いわきには山もあるわけですから,にんじん,ごぼう,ほうれん草などピタミンや食物繊維の豊富な食べ物は,積極的に摂ってください。
わかりました。そうすると,あれも食べちゃだめこれも食べちゃだめという事で無理することなく食事療法もできそうですね
ええ,最近ではクオリティオブライフと言う言葉が流行っていまして生活の質を落とさない医療と言うのが叫ばれています。圧迫感を感じることなく予防や,冶療に励みましょう。魚や海藻類,それに赤ワインを毎日の料理に積極的にとりれることで,いわき市は動物性タンパクを多く摂りアルコールの消費量も多いわりには,心疾患が少ないと言う其合に,第二のフレンチパラドクスならぬイワキパラドクスなんて言われてみたいですね
はい、そうですね。という事で今日はコレステロールとフレンチパラドクスについて本多先生に伺ってまいりました。どうもありがとうございました。
ありがとうございました。