出演者 飯塚 裕子  1998.12.28
 今日の心と身体のクリニックでは、”風邪の撃退法”についてお話を伺ってまいります。

 今日は”お母さんの漢方教室”ということですが、どうしてこのテーマをお選びになったのですか?

 家庭のお母さんは家族の健康にとても気を配っていますよね。お食事を作る時も栄養のバランスを考えたり、お食事の時は家族みんなの食欲を見てますよね。お母さんが”漢方の知恵”を知っていたなら、家族一人一人が出してるからだのシグナルを早く見つけることができるかなと思いまして選びました。
 からだのシグナルとは具体的にはどのようなことですか?
 風邪のひき始めに、ザワザワと寒気がするときは顔色が悪くなって、どちらかといえば、青白くなっていったり、熱があるときは赤い顔をしていたりとか、喉が痛い、頭が痛い、おなかが痛いとかの症状がでます。
 漢方薬は、長く飲まないと効かないというイメージがあるのですが、風邪の時はどうなんですか?
 症状にあった漢方薬を選んでいただけたら、それこそ一服で風邪を治せるんですよ。
 症状にあった漢方薬を選ぶことが大事になってくるわけですね。
 ”かぜをひいたら葛根湯”というコマーシャルがありますが、本当は症状によっては葛根湯が効かない場合もあるんです。
 タイプ別、風邪の撃退法になってくるわけですね。
 中国医学では、風邪を大きく2つのタイプに分けて考えます。一つは、表寒証。寒気が強くゾクゾクするような時、初期はあまり熱がでないのが特徴です。他に手足が冷える、寒いところを嫌い暖かさをもとめる、冷たい物を飲みたがらない、尿の量が多く無色などの症状があります。
 ”表寒証”は、おもてうらの表に、さむいあついの寒で“表寒証”'ですね。
 はい、さらに”表寒証”は汗があるかないかで”表寒実証”と”表寒虚証”に分かれます。
 寒気がしているときでも汗がでているのですか。
 この汗は脇の下に手を入れたときがわかりやすいと思います、汗がなくさらっとしている状態が表寒実証です。

 比較的体カがあり抵抗力の強い人が、風邪をひいた時は防御作用が働いて、風邪が体の内部に進行するのを防ぐために、毛穴を閉じるため汗がでないのです。脇の下がじんわりと汗ばんでいる状態が表寒虚証です。高齢者の方や体のよわい方は抵抗力が弱いため毛穴を閉じる力が低下しているため、汗があるのが特徴です。

 表寒実証、表寒虚証は、脇の下の汗があるかないかで判断するわけですね。
 はい、そうです。証が決まりますと、薬が決まってくるわけです。汗のない表寒実証の人が葛根渇、汗のある表寒虚証の人が桂枝湯ということになります。
 食ぺ物での注意とかはありますか。
 医食同源と言いますように、食ぺ物のとりかたも大事になってくるわけです。寒気が強くでているタイプは、からだをあたためてくれるような”くず湯”とか”しょうが湯”などをいっしょにとるといいですよね。
 寒気がするタイプのお話を聞きましたが、反対にからだが熱っぽくほてるような場合はどうですか。
 表熱証といいまして、このタイプははじめから寒気は少ししかなく発熱するのが特徴です。他に手足がほてる・喉が赤く腫れる・口やのとが渇いて冷たい飲み物を欲しがる・冷たい場所をこのむ・尿の色が濃いなどの症状が表れます。
 表熱証の場合はどんな漢方薬や食ぺ物がいいのですか。
 漢方薬では”天津感冒片””銀堯散"がよく効きます。食ぺ物では熱をさますものと考えていただくとわかりやすいと思います。ナシ・大根・ナスなどを摂取していただけるといいと思います。
 風邪の症状によって、漢方薬や食事もかわってくるのですね。
 風邪かなと思ったら、自分はどのタイプかわかると早く治せますよね。
 いままでは、風邪をひいてしまっだときの対処法を説明していただきましたが、予防法がありましたら教えて下さい。
 肝心なのは予防ですよね。外から帰ってきたら、まずウガイをするということはよく知られていますよね。このことからも、風邪は呼吸器から進入しやすいことが分かります。
 特に今の時期は空気が乾燥していますから、もともと乾燥に弱い喉や肺などの呼吸器を乾燥させないように、呼吸器を潤す効果のあるナシやギンナン、イモ穎などの食ぺ物を取るように心がけましょう。イモ類のなかでは、とくに里芋や山芋など粘りのあるものがおすすめです。
 お肉はどうなんですか。 
  肉類では牛肉や羊肉(マトン・ラム)が体を温める作用があるといわれています。とくに中国でよく食ぺられている羊肉は、コレステロールも低く、血を増やす効果もありますから、冷え性や貧血の人、カロリー制限をしている人におすすめです。羊肉の臭いが気になる人は、マトンよりラムを選ぶか、ショウガやネギ、八角なとの薬味を使ってみてください。
 食ぺ物のとりかたもとても大事なことがわかりました。
 冬は寒さに向けて脂肪を蓄える季節でもあります。自然界に生きる動物は冬毛を生やし、皮下脂肪を蓄えて寒さにそなえていますよね。人聞のからだも同じように、季節の移り変わりに応じて脂肪を増やそうとするのが、自然の仕組みなのです。

 ですから、冬のダイエットは他の季節に比ぺて効果が表れにくく、不適切なシーズンとも言えると思います。また、しぜんの営みに反する無理なダイエットは風邪ばかりでなく、他の病気の原因にもなります。ダイエットは春になるまでおあずけして、風邪の予防にチャレンジしてしてみてください。

 ありがとうございました。