出演者 星 弘光 1998.10.31

 健康は,私達の願い,そしてかけがえのない宝物です。この時間では皆さんとともに,健やかな心とからだを大きく育んでまいりたいと願っています。

---いわき医療最前線---

 健康で心地よい毎日の為に是非お役立て下さい。

 心とからだのクリニック。今日は,星 弘光先生にお話をうかがいます。先生よろしくお願い致します.今回のテーマが「医薬分業について」ということですがどうしてこのテーマを話そうと思ったのですか。

 私の働いている病院でも今月から医薬分業が始まったのですが、患者から窓口で「どうしてこんな面倒なことをするの」とか「どこへ行っても同じ薬がもらえるの」というようなことをよく聞かれます。
 ここ1年の間に市内の大きな病院も全て、この医薬分業を開始すると思います。
 そこで医薬分業を患者さんにもっと理解していただき、上手に利用してほしいと思いこのテーマを選びました。
 患者の言う「面倒なこと」とはどういうことですか。
 今までは、体の具合が悪くなって医療機関にかかった場合、医者に診てもらいそこで薬をもらって帰ってきました。1カ所ですべて終わったわけです。
 それが医薬分業を始めると医療機関では医者に診てもらうだけで、薬は処方せんを保険薬局に持っていってそこでもらうことになります。患者にとっては二度手間になり、又支払いがニカ所になるわけですから経済的負担も増えることになります。
 どうして医薬分業を進めるのですか。その背景にはどういうことがあるのでしょうか。
 ひとつは、高齢化人口の増加にともない、急性期疾患中心から慢性期疾患中心へと病気の構造が変化してきたことにあります。特に高齢者は多くの病気を抱え、何種類もの薬を服用したり、あるいは複数の医療機関に通院するといった人が増加して、重複投与(複数の医療機関で同じ薬をもらう)や相互作用(飲みあわせによる副作用)の危険性が指摘されるようになったからです。
 また一方では、医療サービスに対する患者の二一ズが多様化・高度化・個別化して、薬の内容をより詳しく知りたいとの二一ズが高まり、丁寧な説明が強く要求されるようになったからです。
 インフォームド・コンセント(十分な説明と合意)の普及により患者は情報の開示による治療行為の透明性とそれに関する分かり易い説明を求めているところにあると思います。
 病院などの医療機関でこうした患者の二一ズに応えることはできないのですか。
 病院などの窓口でこうした患者の二一ズに応えることは決して不可能なことではありませんし、現実に行ってきました。しかし、二一ズがより強まれば強まるほど窓口が患者でいっぱいになって混乱し、それに伴って、薬の待ち時間もさらに長くなってしまいます。薬の説明を徹底するためには薬剤師を多くしなければなりません。
 医薬分業によってこういった患者の二一ズに応えることができるのですか。
 病院には1日に何百人もの患者が来るわけですが、その全てに応えることは今話したように人員的要因もあり、とても対応できません。しかし、医薬分業で患者が処方せんを各地域の薬局に持っていくようになれば、患者は分散して薬局での説明に時間的余裕がでてきます。十分な説明を受ける時間がとれるわけです。
 今まで問題になっていた病院での薬の待ち時間もなくなることになります。
 また、処方せんを患者に渡すことで医療の公開にもつながります。
 薬の内容を詳しく知りたいという患者の二一ズには対応できますが、話の中にあった重複投与相互作用の問題についてはどうでしょうか。
 医療機関が医薬分業を始めると必ずその周辺に薬局が数件できます。いわいる門前薬局です。
患者が複数の医療機関にかかることは珍しいことではありません。信頼できる先生に診てもらうことはいいことだと思います。しかし、そこでもらう処方せんをその医療機関の門前薬局に持っていって薬をもらってはこの問題は解決されません。複数の医療機関にかかっても薬をもらう所を1カ所にすればそこでチェックできるのです。
 門前薬局がだめということではありません。大きな病院で複数の診療科にかかる場合は門前薬局がそのチェックする薬局になる場合もあります。
 薬局では必ず患者の薬の服用の記録(薬歴))をとっています。患者が処方せんを持ってきた場合その記録を見てチェックして薬を作ってくれます。もし同じような薬や飲みあわせの悪い薬があった場合はその医療機関に連絡して変更してくれます。
 一般の大衆薬風邪薬や胃腸薬、ビタミン剤などを服用する場合も、病院などからもらう薬と飲みあわせの悪いものがあると思います。そういった時も、このような薬局に行って購入すれば記録を見て相談にのってくれます。
 いわいる「かかりつけの医者」を決めるように信頼できる「かかりつけの薬局」を決めることです。こうすることで重複投与や相互作用の問題が解決され副作用による事故が未然に防げることになります。
 患者の経済的負担が増える分、薬局は薬に関する相談には何でも答えてくれますし、患者はそういったサービスを大いに利用していただきたいと思います。
 医療機関からもらう処方せんはどこの薬局でも受け付けてくれるのですか。
 基本的に医療機関が発行する処方せんは日本全国どこの薬局でも受け付けてもらえます。処方せんを受け取った薬局は正当な理由がない限りそれをことわることはできません。
 どこの薬局に行っても同じ薬がもらえるのですか。
 処方せんに書かれる薬の名前は商品名になっていますので必ず同じ薬がもらえます。同じ成分でメーカーが違う薬しかない場合はその医療機関に問い合わせて同意を得なければなりません。
 作り方も前もって研修会を開いて医療機関と話し合ってますので同じになります。
 また、どの薬局でも同じ説明が受けられるように薬局の薬剤師は定期的に研修会に参加して勉強しています。ですから、どの薬局へ行っても同じ薬・同じサービスが受けられます。
 「かかりつけ薬局」はどのように選べばよいでしょうか。
 患者の住まいの近く・勤め先の近く・通勤の途中・住まいと医療機関の途中など都合のよい薬局を.選べばよいと思います。また、処方せんは4日間有効になっていますのであとから家族の方が持っていってもかまいません。
 患者の多い病院などにはファックスコーナーがある場合があります。
 こういった場合はあらかじめ処方せんをファックスを利用して薬局に送っておくこともできます。そうすることで時間を有効に使うこともできます。4日間有効なので薬がまだある場合などは暇なときに薬局に行って薬をもらう
こともできます。そのためにも都合のよい場所にかかりつけ薬局を決めた方がいいと思います。
 医薬分業のメリットとデメリットをまとめるとどのようになりますか。
 デメリットは「患者が感じている一部負担金の増加」「薬局へ行く二度手間」「病院の薬ではない」という不安だと思います。負担増に関してはその分患者 それぞれの薬の安全性を管理し、色々な情報を患者に提供してくれます。二度手間に関しては、処方せんを都合の良い時に持っていくことで時間を有効に使うことができます。病院の薬でないという不安に関しても、医療機関に無断で他の薬は使えませんので大丈夫です。

 メリットは「薬の待ち時間の短縮」「薬の十分な説明が受けられる」「服用薬の管理により適切な指導が受けられる」となると思います。
 医療機関での薬の待ち時間がなくなり、薬は患者の都合の良いときに薬局へ行ってもらうことが出来る。時間を有効に使うことが出来ます。
 薬局で薬をもらう場合は必ず詳しいを説明をしてくれます。薬の詳しい内容を文書で渡してくれるところもあります。そして一番重要なのが服用薬の記録をとって安全性を確認してくれるということです。 副作用などが起こらないように薬局はチェックをしてくれます。

 医薬分業の目的は副作用を未然に防ぐために行われるということですか。
 本当の目的はそこにあると思います。
 今の医療は内科、整形外科、眼科、耳鼻科などと細かく分かれています。高齢者は多くの病気を抱えています。そうすると、1人の患者は何人もの先生に診てもらい、それぞれの先生から薬をもらうことになります。その中には飲み合わせの悪い薬が出ることがあるかもしれません。ここ数年、副作用が大きな問題になり病気によっては使用できない薬や飲み合わせの悪い薬など少なくありません。

 こういったことをチェックするうえで医薬分業は欠かせないものだと思います。
 そして、今まで外来の患者の薬を作っていた病院の薬剤師は、これから入院している患者のベッドサイドヘ行って薬の説明をすることになります。

 はい分かりました。今日は星先生に「医薬分業について」うかがいました。先生ありがとうございます。