出演者 渡辺 哲生  1998.10.24

今日のテーマは 最近ふえているといわれる糖尿病ですが、糖尿病とはいったいどういう病気なのでしょうか?

糖尿病は 血液中に含まれるブドウ糖が異常に多くなり、その結果、神経や目、腎臓など全身のさまざまな組織や機能に障害がおこる病気です。通常 体に取り入れられた糖質は、消化分解されブドウ糖となり、腸より吸収されて 脳や筋肉がはたらくための重要なエネルギー源となります。余分なブドウ糖は 肝臓でグリコーゲンにかえられて貯蔵されます。そして必要な時には このグリコーゲンが再びブドウ糖となりエネルギー源として使われるのです。こうしたブドウ糖の利用や貯蔵に不可欠な働きをしているのが インスリンというホルモンです。このインスリンが十分に分泌されなかったり、分泌されていても働きが悪いと 血糖値が高い状態が続くようになります。このような状態を糖尿病といいます。
では、この血糖値の高い状態が長くつづくと どんな症状があらわれるのでしょうか? 
高血糖の状態を 放置しておくと、全身にさまざまな合併症があらわれます。糖尿病で怖いのは その合併症で、血糖をコントロールするのも合併症の予防のためといえます。
合併症には どういったものがあるのでしょうか?
主な合併症として 目の障害、腎臓の障害、神経の障害があります。目の障害は 比較的早い段階からおこります。中でも 最も怖いのが 「糖尿病性網膜症」というもので、ひどくなると失明することもある 非常に恐ろしい合併症です。腎臓の障害としては 「糖尿病性腎症」があります。これは長期間の高血糖状態により、腎臓の毛細血管が障害され この働きが低下します。腎臓障害が進行すると、体内の老廃物を排泄することができなくなり 放置すると尿毒症をおこして 生命の危険にさらされる結果となります。そして 糖尿病の合併症の中で 最も発生頻度が高いのが 「神経障害」です。高血糖の状態が続くと 徐々に神経が侵され 体のさまざまな部分に異常がでてきます。まず 障害をうけるのが末梢神経です。そのため初期は手足のしびれ、神経痛、こむら返りなどが多く見られます。放っておくと 知覚神経もおかされ 痛みや熱さなどの感覚が 麻痺してしまいます。そのため 足の裏に怪我や火傷を負っても気づかず 壊疽をおこしたりすることもあります。
合併症のおそろしさは十分わかりました。では その合併症を予防するにはどうすればよいのでしょうか?
どんな合併症でも 血糖をコントロールすることが 予防と治療の基本となります。合併症が ごく軽い段階であれば 血糖コントロールだけで病変の悪化を防ぐことができます。あとはかかりつけ医との話し合いをもとに 定期的に眼科、内科の検査を受けることが大切になります。
自分の血糖値をよく理解し、高い状態を放置しないことが大切なんですね。それでは 現在、糖尿病そのものの治療にはどういった方法があるのでしょうか?
糖尿病の多くは 「過食、運動不足、肥満」でおこります。糖尿病の治療は こうした生活環境をあらためて、血糖を正常化し、合併症を防ぐことが最大の目的です。具体的には 食事療法で摂取エネルギーを減らし、運動療法で消費エネルギーを増やして血糖をコントロールします。これは最も基本的な治療法で この二つの生活療法を継続的に行うことで 患者さんの多くは 血糖をコントロールできるようになります。特に軽症であれば これだけで十分効果が得られます。しかし病気が ある程度進行し、生活療法だけでは 血糖値がさがらない場合には 薬によって血糖値をさげる薬物療法が行われます。ただし、薬を使っても 治療の基本である食事療法と運動療法はかかせません。
食事療法のポイントは?
食事療法を行う上で まず 重要なのは 「適正なエネルギー量を摂取すること」です。食事療法で制限されるのは 摂取エネルギー量だけで、食べていけないというものはありません。量の点をのぞけば、普通の食事とほとんど変わりません。もう一つ重要なのは 「バランスよく栄養をとる」ということです。糖尿病の原因となる過食は 量ばかりでなく、栄養の偏りも伴うことが多く これも改善しなくてはならないからです。食事は三大栄養素といわれる 「糖質・たんぱく質・脂肪」をバランスよく取ることが大切です。これを実行するには 医師・栄養士の指導のもと、食品交換表を活用するとよいでしょう。
運動療法のポイントは?
運動療法は ブドウ糖を消費するだけでなく、血糖値をさげるインスリンの働きをよくするという効果があります。運動といっても なにも特別なことをするわけではありません。糖尿病の運動療法として 積極的にすすめられるのは、毎日よく歩くことです。そのほか 軽いジョキング、水泳、サイクリングなども糖尿病の人に適しています。
薬物療法のポイントは?
食事療法と運動療法を しばらく続けてみて 血糖値がさがらない場合には 薬を利用して血糖値をさげる薬物療法が必要になります。現在、主に使われているお薬は、膵臓の細胞を刺激して インスリンの分泌を促す薬、糖質の消化吸収をおくらせて 食後の急激な血糖の上昇を抑える薬、インスリンの働きをよくしてあげて 血糖をさげる薬、そしてインスリンの注射という4種類です。これらのお薬は、患者さんの病状やタイプによって使いわけられます。場合によっては 併用することもあります。
それでは これらの治療法をふまえて、糖尿病を悪化させないようにするには どうすればよいでしょうか?
糖尿病は 初期の段階では ほとんど自覚症状がありません。これが糖尿病のこわいところです。もし、糖尿病という診断があった場合には、この病気を甘くみずに、糖尿病に対しての知識をふやし、かかりつけ医、かかりつけ薬局、そして ご家族の方々とともに治療にとりくむことが大切です。私たち、地域の薬剤師も協力したいと思っていますので いつでもご相談ください。
ありがとうございました。