出演者 眞木 哲夫  1998.08.25
 毎月第四土曜日は、お薬のお話を伺っていますが、今日は前回に引き続きまして、更年期障害とホルモンについてお伺いしたいと思います。

 サブタイトルが『自分らしく生きるために』ということなんですけれども、やはりこの更年期障害というのは、前回のお話からもいえますが、女性特有の病気ということですよね。今回も引き続き先生のお話いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 こちらこそよろしくお願いします。
 ところでその前回なんですが、更年期障害とホルモンについての総論的なお話をお伺いしまして、内容としましては更年期の定義的なこと、それから症状などについてのお話でしたけれども、今回はその治療法ですとか日常の食事などから、少しでも症状を軽くして、その時期を楽しくといえるかどうかわかりませんけれども、乗り切る方法をお伺いしたいと思います。
 前回のお話は、更年期というものが閉経の前後数年を含めて、45歳ぐらいから56歳ぐらいを指すといいましたが、その事について少々補足いたしますと、女性の月経も平均寿命が延びたことにつれてですね、閉経年齢も以前は45〜46歳くらいだったものが、今では平均53歳位と、5、6歳はのびております。したがって女性の更年期といえば今では50歳から55歳ぐらいまでの短期間を指すのが妥当ではないかともいわれております。これは栄養上のこととか医学の発達や生活環境の向上などの要素があると思います。
 このようにですね、平均53歳ぐらいに、だいたい5、6歳のびたということなんですが、これはやっぱり寿命が延びているということにも影響しているわけですか。
 そうですね。それは一番の要因だと思います。
 それからですね、更年期障害というのが、治療によってよくなることがあるんでしょうか。 
 更年期障害の症状は人により個人差があります。その治療法もその人の症状により異なりますが、結論をいえば自分の意識のもって行き方で必ずよくなります。

 治療法としては、現在行われている方法をまとめてみますと、1番目として食事療法、これは栄養のバランスということになりますが、ただこれは本来からいえば10代20代の若い頃から実行しなければならないこととも言えますね。2番目として薬物療法、これには後で述べますがホルモン補充療法や精神安定剤、あるいは抗うつ剤とか自律神経調整剤、漢方薬などの薬を服用したり、ということがあります。3番目としまして、精神的な方面の心理療法ですね。これはカウンセリングやプラス思考への転換ということで、自律訓練法とかあります。その他としましては、スポーツとか文化活動や、趣味の充実の方で大いに個人の啓発をしていただく、そういうようなことが言えると思います。

 こないだもちょっと疑問に思ったんですけれども、よく仕事で毎日 例えばお店なんかをやってまして忙しく過ごしている女性というのは更年期障害が軽いとか、そんなようなお話も伺ったことあるんですが、それは本当でしょうか。
 そうですね、これは一つの物事に集中しているっていうことで、ほかの、いわゆる一般的に言えばよけいなことを忘れてそっちに集中する、そういう事からだと思いますが。
 要するに、更年期障害に「なる!なる!なる!なる!」と思っていると、よけい精神的にも、ダメージというとおかしいですけども、症状を重くしてしまうということですよね。

 今日は更年期障害とホルモンについてお話をお伺いしていますけれども、先ほどですね、更年期障害を少しでも軽くするための様々な治療っていうのを伺いましたけれども、まず毎日の生活に欠かせないのは食事なんですよね。この食事で何か軽くなることがあれば教えていただきたいんですけども。

 はいわかりました。私も以前に、医食同源っていうお話をしたことがありましたが、更年期症状もやはり薬での治療っていうのはもう後々の問題としましてですね、それは後の段階ということで、いろいろな食材をどのように毎日の食事に取り込んでいくかであると思いますね、これは一番大事だと思います。更年期障害の主な症状の一つに精神的症状があります。これは感情が鋭敏になり、ヒステリーを起こしたり、不安、心配、絶望感にさいなまれたりします。肉体的症状では胃腸の障害をはじめとして、内臓の不快な症状とか、排尿障害や、肩こり、関節の痛みなどがあります。このような症状にはまずビタミンEを含む食物をたくさん摂って、ホルモンの分泌を促すことですね。
 それではこのビタミンEを含んでいる食品を具体的に教えていただけますか。
 ビタミンEを多く含んでいる食品には、ココナッツを除くナッツ類。まあココナッツを除くというのは、ココナッツそのものはカロリーが多くて、また塩分も多いなんていうことからですね、それを除いてナッツ類、あるいはゴマとかアボガド、ウナギ、サンマ、筋子、たらことかたくさんあります。植物油ならだいたい大さじ2杯位を目安にですね、これらを含んでいるものを毎日食べるように心がけてください。それでも効果が現れないときは、ビタミンE剤や、健康補助食品を利用するのも一つの方法だと思います。
 この健康補助食品なんですけども、やっぱり自然のものから摂った方が効果的とか、そうことはありますか。
 本来はですね、やはり野菜とかいろいろな動物性の食品とかありますね、肉とか、そういう自然の食品から摂るのが理想ですね。
 はい。それでは症状の中の一つなんですけれども、肩こりの場合はいかがですか。
 肩こりは食物だけではなかなか大変なところもあるんですが、まずはビタミンB群が不足するとそういう症状が起こったりします。ですからニラとかネギとかですね、牛レバー、あるいはニンニクといったビタミンBを多く含む食品を摂ったり、また繊維を多く含む食物、主に野菜類になりますが、それらを食べて腸内のビタミンB群を増やすと改善されたりいたします。また末梢の血液循環をよくするということも大切なことですが、それに加えてですね、いつもいうように適度の運動も必要になってきます。どうしてもの時は、筋肉をほぐすような薬の服用も考えてもいいと思います。
 最近よく話題になっているアルコール飲料のビールが更年期症状によいというのは本当でしょうか。
 それはある意味では真理だとは思います。確かにビールはビタミンB群やホップが含まれており、それの働きとしましてですね、ホルモンバランスの調整作用や肩こり、冷えなどにも効果があると思います。ただこれはアルコール飲料ですからカロリーの問題などもあり、適当にということになりますね。ちなみにビールは1グラス、ふつう200mlですね、これが80Kcalあります。またアルコール類の中でもビールというのはほかのお酒類に比べてですね、糖分やタンパク質も多く含まれておりますので、その辺のこともやっぱり考えなくてはならないと思います。
 1グラス80Kcalって結構多いですよね。これがいわゆるビールっぱらという原因になってしまうんでしょうね。

 そして次にのぼせや冷え、めまい、耳鳴り、頭痛、急な発汗とか、ほんとに更年期障害の典型的な症状と思うんですけども、あと全身のむずがゆさというんですか、そういったものによいものはなんでしょうか。

 これらの症状は自律神経系のバランスが崩れたときに現れます。自律神経障害は血流を調節する血管運動神経が故障するため、つまり血管が急に拡張したり急に収縮したりして血流にトラブルが生じたりするために起こります。柑橘類や酢の物などを食べてですね、クエン酸を摂り、日頃から血管をタフにするっていうことが大切ですね。ホルモンバランスの不調から冷え症になったり、逆に冷え症から、冷えが原因でホルモンバランスを崩すこともあります。また冷えはその人の姿勢にも大いに関係していますので、常に姿勢を正しくするように心がけてください。
 そうしますと冷え症というのは、どういったことで治すことができるんでしょうね。
 そうですね。冷えっていうのはいろいろ、体のいろんなアンバランスからきてるもんですから、たとえば体の上半身下半身なんかのアンバランスもあるんですね。ですからそういうことで、よくお風呂にも半身浴がいい、下半身だけを風呂に浸かってそのバランスを整えるとか、あります。一番それとか血流の流れがうまくいってないとかあるいはホルモンバランスの崩れ、そのへんに原因があると思います。
 なるほど。やはりこれを治すのも食事療法っていうのが一番なんでしょうか。
 これはもう冷え症を治す上で一番大切なのは薬なんかよりも食事療法だと思いますね。バランスのよい食物を心がけることはもちろんですが、食物には陰と陽の二種類があるといわれております。

 即ち陰性の食べ物には体を冷やす作用があり、漢方では寒涼食などと呼んでいます。その代表的なものをあげると、肉類では馬肉とか、鴨の肉とか、野菜類ではトマトやキュウリ、ナス、大根等、また海草類では海苔やひじき、昆布、また大麦や白砂糖、牛乳なんかもあります。

 一方体を温めるのは温熱食といいます。その代表的なものとしては、肉類では牛肉や鶏肉、羊の肉とか、野菜類ではニンジンやネギやニラ、カボチャ、その他たくさんありますね。ただ、じゃあ温熱食だけ食べてれば冷えにいいかというと、そういうことはできませんね。寒涼食のなかでも、栄養上必要なものがたくさんあります。先ほど挙げた大根やなんかもそうですね。ですから要は両方の食物をバランスよく摂るということになりますね。

 やっぱりバランスが大切というお話ですね。

 それでは薬による療法の最後になりますけれども、何回かこの時間にもお話伺っていますけれども、ホルモンの補充療法、これについて簡単にご説明いただけますか。

 女性ホルモンには卵胞ホルモン、即ちエストロゲンと、黄体ホルモン、プロゲステロンの二種類があるといいましたが、ホルモン補充療法とはこのエストロゲンの減少によって起きる更年期の諸症状を、エストロゲンを外部から補うことによって和らげようとする治療方法の一つです。それにはエストロゲンと黄体ホルモンを併用することにより、ホルモンバランスを保てばさらに効果的であると同時に、副作用の軽減にもなるといわれております。
 ではこのホルモン補充療法の治療期間はどのくらいになりますか。
 このホルモン補充療法をどのくらいの期間続けるかについては、治療目的により異なり、更年期の一時的な症状を改善させるには、数ヶ月から数年くらい続けます。閉経後に起こりやすい骨粗鬆症や高脂血症、動脈硬化症などは長期間続けることになるでしょうね。また場合によっては、飲み薬でなく肌に貼るホルモン剤を使用する場合があります。これは特にホルモン剤なんかによって胃の調子が悪くなったり、胃弱の方とか、そういう方には適していると思います。いずれにしましても副作用の問題や各種の検診、検査等がありますので、主治医の先生とですね、よく相談の上で行うといいと思いますね。
 この肌に貼るホルモン剤というんですが、どの部分に貼るんですか。
 それはですね、お腹、下腹部ですね、お腹の部分とか、腰の部分なんかに貼るんですね。それが皮膚から吸収されまして血管に入りましてですね、そういう作用を行うということになります。
 よく漫画とかで中年の奥さんのこめかみに絆創膏貼ってるんで、それかと一瞬思いましたが、余談になりましたけれども、最後に先生まとめのお話をいただけますか。
 前回と今回の結びといたしましてですね、更年期は女盛りの年代であるといえます。ただ確かにこの時期には排卵など生殖細胞の生産能力は低下して、妊娠や出産という生殖現象は衰えてきます。しかし卵巣からでる性ホルモンは減少しますけれども、あるレベルでは分泌されておりまして、ゴナドトロピンというホルモンにいたっては、20代を上回るような血中濃度を維持しているということもいえます。

 したがって内分泌上からも若い女性と何ら変わらないということにもなりますね。すなわち更年期は第二の思春期ともいうべき世代なのです。性行動における女性のハンディキャップ、妊娠からも完全に解放され、閉経以後こそまさに性行動を充実させるべき時期ではないでしょうか。

 日本では昔からこの辺のことになりますとですね、何かとタブー視されて皆さん話しにくいということがありました。しかしその更年期を自らセプテンバーセックスなんていうことでですね、秋風を吹かすっていうことじゃなくて、ここで改めて更年期こそ女盛りの年代であるということを強調して、今日の結びにしたいと思います。では今後とも明るく元気な毎日を過ごされることを心よりお祈りいたします。

 先生今日はどうもありがとうございました。