出演者 眞木哲夫 1998.067.25

 毎月、第4土曜日は、お薬について伺っていますが 今日はもっと大きな意味で 女性の健康について 真木会長にお話いただきます。さて 今日のテーマは 更年期障害とホルモンについてということですが、特に女性の場合 ホルモンによってコントロールされることが多いと思います。月経という月単位のサイクル、思春期、成熟期、更年期と言った個体の一生のサイクルなどこれらすべて女性の持っている特徴は すべてホルモンのコントロールによると見ていいですね。

 女性の一生を語るとき、ホルモン抜きでは語ることが出来ない理由も そこにあるといえます。
 なるほど、ホルモンが女性をコントロールしているということですが、では、女性の一生はどのようなサイクルになっているのか聞いてみたいと思います。
 女性の一生は 大体五つの時期に分けることが出来ると思います。簡潔に それを区分しますと 最初に幼年期及び少女期、次に思春期、三番目に成熟期、これは性成熟期とも言われます。そして本日のテーマである更年期ですね。それを過ぎると老年期と言うようにながれていきます。
 そうしますと 私は思春期とは言い難いんで成熟期といったところにいるんじゃないかと思うんですが まず、今日は それぞれの特徴を伺っていきたい所ですが 時間の方があまりないので更年期について少しくわしくお話いただけますか。
 更年期というのは だいたい年齢的に言いますと 45歳ぐらいから55、56歳ぐらいの閉経をはさんで 前後10年間ぐらいを指します。長い成熟期が終わると 女性の体は 卵巣機能が衰え、ホルモンの分泌にも 変動をきたし、今まで維持されていたサイクルが乱れがちになりますね。そして 次第に 月経が不順になり、やがて月経は閉止します。卵巣機能が低下するため、ほとんどの人が、いわゆる更年期障害の症状をきたします。黄体ホルモンの関係で、基礎体温も一相性になってきたりします。更年期を過ぎると老年期に入りますが、この年代には、ほとんどの女性が閉経期を迎えています。卵巣機能が低下するため、たいていの人は 更年期障害の症状をきたしてくると思います。
 やっぱり、ホルモンとの関係で 更年期障害の症状が 出ると言うことなんですけれども、今のお話には老年期も関わると思いますので 老年期についても少し簡単にお話いただけますか。
 老年期ですが、だいたい年齢的に56歳位以上の年代ですね。この年代には、生殖機能がなくなる時期でもありますけれども ただ、性腺刺激ホルモン すなわち 卵包ホルモンは生産されますので、女らしさがなくなるような心配はありませんので その辺のことは どうぞ わかって頂きたいと思います。むしろ 妊娠から開放されることにより、女性として第二の人生を歩むことができまして 自分らしく 老年期の人生を送るという点では いいんじゃないかとおもいます。
 まさに 第二の人生ということですよね。それでは 早速なんですけれども いつもは ホルモン ホルモンと簡単に使いますが じゃ何?というとわからない事が多いですよね。ここでホルモンについて詳しく伺ってみたいと思います。
 いままでホルモンという名称を わりと気軽に使ってきましたが、ここでホルモンとは何かについて考えてみましょう。ホルモンはごく微量でありながら、大きな働きをする点では ビタミンに似ています。しかし、,ビタミンは 外部から摂取しなければなりませんが、ホルモンは 自分のからだの中で作り出せる物質です。しかしながら、この自分で作り出すという点が うらをかえすと複雑でやっかいなことでもあるのです。
 複雑でやっかいというのは、どういったことなんですか。
 ビタミンなんかですと 1日のバランスをかんがえて 野菜をこれくらいとか、こういう食物をとって これはビタミンAがどのくらい、ビタミンBがどのくらいという「メニュー」というものを作ることが出来ますが 自分の体で作ることが出来るホルモンというものは そういうことでは 非常に難しいわけですね。あるいは ホルモンがちょっと足りないかなと言って ホルモン剤をかってに服用したりとか そういうこともできませんし その辺のことで非常に複雑だということです。体にとって重要な役割を果たしているホルモンは いろいろありますが、女性ホルモンで 最も主要な役割を果たすのは、卵包刺激ホルモンと黄体化ホルモンです。卵包刺激ホルモンは卵巣に作用し 卵包を成長させ、黄体化ホルモンは 排卵を促します。これらのホルモン機構は 実に精妙で、ホルモンが有効濃度になるように自働的にコントロールされています。このホルモンの濃度を調節する機能は、間脳にありますが その間脳もまた 末端の分泌器官によってコントロールを受けているともいえます。このように、ホルモン-神経-血液-各組織というような一連の絡み合いがあるので、更年期症状を含めた女性の特有の症状を昔から「血の道症」と表現したりしています。
 それでは 更年期とホルモンについて おはなしを伺ってきましたが、早速 更年期が現れる症状についてのお話に移りたいとおもいます。
 更年期とは、前に述べてきたように、閉経の前後数年を含め45〜56歳ごろをいいますが、更年期には 卵巣が萎縮して、規則正しく起こっていた月経の周期が 乱れたり、出血量が少なくなったり、あるいは異常に多くなったり、期間が長くなったりします。無排卵性月経も生じたりしてきます。複雑に絡み合っているホルモン系の中で 卵巣機能が低下すると、子宮や乳房を発達させ、女性特有の身体つきにする直接的な働きだけでなく、他の部分、特に黄体ホルモンの血中濃度を感知する間脳部に大きな影響を与えます。その結果、情緒不安定になったりしますが、更年期症状の中で感情が鋭敏になり、ヒステリーの症状が多くみられるのもこのためです。
 中年女性がヒステリックになるのは、失礼な話ですが、それはホルモンの作用で ある程度 人間のいとなみの中で 仕方がないというようなことなんでしょうか。
 それをうまく自分に取り込んで消化していくのが大切なのではないでしょうか。また 自律神経を安定させる性ホルモンの分泌が低下します。すると 神経のバランスを失い、種々の障害を起こします。男性にはほとんど見られない更年期症状が、女性にあるのは、男性ホルモンの減少は60〜90歳ぐらいの長期に渡っているのに比べ女性ホルモンは、わずか10年前後の間に急速に減少する為と言われております。
 なるほど、男性にしても 頑固になるとか そういうことがありますよね。
 そうですね。よく男性はどうなんだと言われますと イライラしたり 気が短くなったり 怒りっぽいとか そういう症状が確かに現われてくると思われます。
 それは 女性でいえば 更年期、男性の更年期みたいなものでしょうか。
 一種の更年期のような症状かなと思いますけどもね。
 そうですか。それでは 早速 更年期についてくわしく伺っていきたいと思います。
 ホルモンの低下と、その時期の心因的ストレスにより 様々な症状がでてきます。「不定愁訴」と言われるような一定しない症状も現われてきます。これらの更年期障害の症状を 項目別にまとめてみますと 四つぐらいの項目になりますが 時間の関係もありますので 症状を列挙してみますね。顔のほてり、汗をかきやすい、手足の冷え、ふけ冷めというのがありますね、ポーと暑くなったと思ったら急に冷えた状態 そういったこととか、肩こり、腰痛、関節痛、胃腸障害など、頭痛、不安でイライラしたり、不眠、憂鬱、絶望的な感じになったり あるいは 知覚障害として手足のしびれ感、感覚が鈍くなったり 肌を蟻が這うような感じなんてことがあります。そういった症状が現われてくると思います。 
 要するに情緒不安定になることと ほてりですか それと蟻が体を這う感じというのは、皆さん訪れるのですか。
 これは 確かに更年期の症状としてはありますが、わりとこれ 私なんかたまに受けるときが ありますが若い年代の方にもあるようですね。
 要するに 居ても立ってもいられない感じというんですか。
 ありますね。イライラしたり 緊張が走ったりするときは、なったりしますね。
  その他に体の変化は ありますでしょうか。
 その他 更年期には 膣壁の弾力性が弱まり、膣内は酸性からアルカリ性になり、大腸菌や雑菌を自浄しにくくなり おりものが多くなります。その結果、膣炎を起こしやすくなります。更には エストロゲン いわゆる卵包ホルモンが大きな関わりをもつ、これがまたひとつの大きなテーマですが、骨粗鬆症や高脂血症、動脈硬化等の問題もあります。
 そうですか。では、本当に 顔のほてりなどの症状から大きな病気に発展する可能性もあるということですか。
 そのとおりですね。
 では 要注意の時期と言えそうですね。やっぱり 更年期障害時には、心が不安定になってしまうというのがありまして 自分自身も嫌な思いをしますが 周りの人にもどうしても嫌な思いをさせて 悩まれている方が多いと思いますが この時期どういうふうに過ごしたらよいか、会長の方からアドバイスいただけますか。
 更年期症状といわれる各種の機能低下は、一見マイナスの現象に見えますが、裏を返すならば これは「天地・自然の摂理」 神の技とでも言いますか 女性の体を守るための現象であると言えます。何故ならば 50歳、60歳、70歳になっても妊娠・出産を繰り返すならば、それこそ身も心もボロボロになってしまうからです。 
 なるほど、そうしますと もうこの辺で「子育ては終わりよ」という信号のようなものですか。
 まったく その通りだと思います。ホルモンが身体全体を支配して、しかも それがアンバランスになるのですから、種々の障害が起こるのは当然のことなのです。一度にホルモンの働きが鈍くなるのではなく、減ったり増えたり、あるいは激しく揺れ動きながら 徐々に長い時間をかけていくので、本人にとっては大変な苦痛になりますが、逆に更年期というものがなく、ある日を境に 突然に老年期を迎えたらどうでしょう。心も肉体もそれについていけないと思います。これも神が与えてくださった女性を守るための手段であると受け取った方が、いいと思います。
 そうですね。ある日突然、起きてみたら 浦島太郎が玉手箱を開いたように いきなりお年寄りになっていたら怖いですよね、逆に。
 更年期をうまく乗り越えて 次の人生を自分のために生きる 自分らしく生きることが出来るように自然が与えてくださった ワンステップであるとプラスに捉えてください。きっと目の前が開けると思います。そして、いつまでも 「恋心」を持ち続けてください。ホルモンの働きもきっと活発になると思います。
 よく 更年期の時に 例えばダンスをするとか そういうことがすごくいいと聞いたのですが。
 そういう スキンシップというか、非常にいいことだと思いますね。肉体的な面、精神的な面、両方おおいにプラスになることだと思います。今日のお話に対し、何か 意見や質問等がありましたら どしどし薬剤師会にお寄せください。毎日が 健やかであることをお祈り致しまして 今日の話を終わらせていただきます。
  今日はどうもありがとうございました。