出演者 眞木哲夫 1998.01.23

 毎月第4金曜日はお薬の話を戴いています。今日はいわき市薬剤師会常務理事の真木哲夫先生にお話をおうかがいします。   先生よろしくお願いします。

 こちらこそよろしく

 今日のテーマは「医食同源」という言葉ですが漢方の話などで時々耳にすることがあります。具体的にはどういう事なんでしょうか。

 はいこれは別名「薬食同源」ともいわれますが、昔から中国では食べ物こそ最上の薬の発想から、病気の治療や滋養作用の効果をあげる為に、料理に生薬、漢方薬などもはいりますがこれらを組み合わせた技術が発達しています。医食同源とは食物は薬であり、薬は食物であるということなのです。薬に頼る前に、先ずは日々の食事で健康を維持すべきであるという意味がこめられています。ひとつの生命観であるとも言えますね。今、皆さん薬の漢字をイメージしてみて下さい。「くさかんむり」に「らく」という字を書きますね。これは草で楽になるという意味合いがあります。昔から人間は、食物としてや体調が思わしくない時の薬になるものとして、動物性のもの以外では「草根木皮」といわれますが即ち、草とか根とか木の実や木の皮等に求めてきました。そして経験的に良いもの、悪いものというものを見分けるようになったのです。

 はい朝鮮人参ですとか自然の食品といったものを悪い病気を治すために使うというのは本当に昔からあると思うんですけれども、漢方の理論とか漢方薬を上手に取り入れるということになりますか。

 はい確かにそこには漢方や漢方薬の考え方概念も密接にかかわってきますが、今日のお謡はそういう事にこだわらず毎日、三度三度体内に摂り入れる食事というものを、もっと真剣に考えようという事です。健康を維持する為には薬に頼る前に日常の食生活を見直さなければなりませんね。我々が日常生活を健やかに過ごすには三つの基本的な要素が不可欠です。一番目にはバランスのとれた食事、二番目に適度な運動そして三番目には休息と睡眠です。今日は一番目の食事即ち食物について話を進めましょう。食事と健康とは切り離す事のできないかかわりあいをもっています。バランスのとれた食事をしない限り、若さと健康とを守っていくことは出来ません。そこにおいて食は命なりが、大きな意味を持ってくるのです。

 はい本当に毎日の食事が大切だということを言えますよね。私達が今の先生の話を聞きまして、私達が薬剤師の方に対して抱くイメージというのは、どうしてもいろいろな薬を扱ってくださる方薬の販売ですよねまたは処方せんによる調剤を通じて薬の服用法、副作用それから相互作用、保管等の指導をする先生というようなイメージを持ちがちでけれども、今のお話の様に日常生活の事今日
は特に食物のお話なんですけれども、こういった事までかかわり合いがあるんですね。

 はい勿論薬の販売や調剤を通しての相談や指導は薬剤師として重要な任務であり、業務のひとつになっております。しかし我々薬剤師は、薬そのものだけに、こだわっているのではありません。今日の医食同源の語も、何が基本的土台になっているのかと申しますと、人間はもともと食欲とか性欲とか知識欲とか諸々の能カ言葉をかえれば、すべての生命を全うする力が生まれながらにして私達の身体の中にはあるのです。身体のどこかに病気とか怪我などの障害が生じた場合、もとに戻そう'とする力、即ち自然治癒力というものが備わっています。ですから、先ずはそれを活かしながら時には薬のカを借りるという考え方で、薬というものをとらえる。そのような姿勢で医療に接しております。我々医師や薬剤師は単にその手助けをしているに過ぎないのです。お医者さんや薬が病気を治すのではなく自分自身の有する生命力いわゆる自然治癒力ですね、これが病気を治していくのだと言われるのはそういう事なのです。

 それでは先生に引き続きお話をお伺いします。新聞とか雑誌・テレビの番組等で健康の話っていうのはほんとうによく耳にしますよね。例えばこんな運動療法がいいとか、病気の予防とか薬の話等が頻繁に登場していますけれども、医食同源というのもその範疇に入ってくる事なんですか。

 まさにその通りです。私も時々女性週刊誌等を見ることがありますが、健康記事の中で「食物と病気」とか「食物と健康」、「食物と美」容等の関連の内容がとても多く見受けられます。例えば「あなたをガンから守る食材図鑑」とか「緑黄野菜で病気知らずの上手な料理法」、「いつものおかずで薬膳を」、「食事をとりながらのダイエット」など沢山あります。また、書店に行けば健康関係の本は所狭しと並べられています。ただここで大切なことは沢山ある中から自分にあったものを上手にとり入れるいう所にあるのです。それにしてもダイエットの記事が多いのには驚かされますね。

 はいそうですよね。やっぱりダイエットというのが女性の最も大きい関心事であると言われてるからだと思うんですけれども、だいたい女性のボーダーラインというのが50キロといわれていますけども、身長が160何センチあっても50キロ以下じゃないといけないとか、やっぱりスターとか、アイドル歌手とかそいう方が痩せているから目指そうとかそういう気持ちが多いんじゃないかなと思うんですけれども。また自分自身に合ったものを上手にとり入れると先生お話してらっしゃいましたけれども、たとえばすごく低血圧で貧血の方が、食事を断食してしまうとか、そういう療法は非常に良くないと思うんですが、では実際に日常の食事にどう摂り入れまして、どう活かしていったらいいんですか。

 そうですね、実際の料理の献立とか調理法等は、料理の専門家や栄養士の方お話をということになりますし、専門書も沢山出版されているので、参考にして頂きたいとおもいます。それにしましても、飽食の時代と表現される昨今ですが、現代ほど食物に対する配慮がおろそかにされている時代はかつてなかったのではないでしょうか。食糧・食材の豊富さ、料理の多彩さからくるぜいたく病、えり好みのきく自由さから偏った食生活に陥ったりしております。一方猛烈サラリーマンのように食物を選んだり、吟味をしたりする余裕すらなく、ただ冑の中にモノを詰め込むだけで精一杯という人も多いでしょう。今回のお話としては、バランスの良い食事というのは何なのか、どう組み合せていくのか基本的なことに少々ふれてみたいとおもいます。

 はい 今コンビニエンスストアーが大変多く増えてきましたよね。そういう所で出来合いの食べ物というのが多くなっているというのも私の考えですが、一因しているんじゃないかなと思います。それでは曲を挟みまして先生に引き続きお話をお伺いします。

 それでは健康であるためのバランスの良い食事という話をお伺いしたいと思います。

 はい身体に必要な栄養素 これは皆さんもご存じだと思いますが、たんぱく質、、炭水化物、脂肪、ビタミン、ミネラルの5大栄養素を含む食品を過不足なく、しかもカロリーを抑えながら効率良く摂ることですね。これらの栄養素をバランス良く摂るには食品を大きく4つの食品群に分けています。第一群としましては、乳及び乳製晶や卵が入ります。第二群には魚介類、肉、豆、豆製品ですね。これらの第一群、第二群は主にたんぱく質源になるグループになります。第三群に入るのは野菜、いも類、くだもの類になります。これらはビタミンやミネラルの供給源になります。第四群に入るものには穀物や砂糖、油脂類いわゆる脂肪になります。これらはエネルギー源になるものですね。

 はい 先生のお話、第一群から第四群までの食べ物というのは、誰しもといいますか、私達の年代ですと家庭科の時間に習ったんですよね。円が描かれてましてこの中からこのくらいのエネルギーを摂らなければいけないというようなものなんですけれども。1日に必要なエネルギーの基準というのはどのくらいになりますか。

 はい1日に必要なエネルギーの基準は、成人女性が1600キロカロリー・男性は1800キロカロリーといわれております。特に第一群から第三群まで、これはいわゆる脂肪を除いた群ですね。ダイエット中の方でも普通食と同じようにしっかりと摂り入れなければなりません。ダイエットは痩せることとか、食事を摂らないことなどとの誤解はくれぐれもしないで下さい。詳紬は省きますが、これらの食品群をバランス良く食事に摂り入れることと、そして一つ重要なことは適度な運動をプラスすることです。これに関して一例をあげるならば、骨粗鬆症等の予防なんかでもカルシウムを摂りなさい、摂りなさいと盛んに言われますね。しかし、だからといってカルシウムそのものとか、カルシウムの含まれるような食物だけを沢山摂ってもそこに適度な運動等がプラスされないと非常に効率良く体内へ吸収されないということもあります。

 はいダイエットしている方も食事を絶食するとか、減らすとかいうより、溜め込んだ脂肪は適度に燃やさなければいけないという意味で運動は大切なんですよね。今日のお話で、私達人間も動物であり、薬よりは先ず食物が如何に大切か。
 そして健康維持や病気を治すのは、「基本的に人間」患者さんですよね、患者さん自身が治していくのだということが良く分かりました。それでは先生最後に何か、まとめのコメントがありましたらお願いいたします。

 以上、話してきましたことを、日常生活で実行しておりますと、薬を使用した場合、効率良く薬の効果も発揮されますし、一方副作用の発現なども最小限に押さえる事にもつながります。町の薬局や病院等で薬剤師と接する機会もあるかと思いますが、気軽にいろんな相談や話をしてみて下さい。きっと何かのヒントを得ることが出来るとおもいます。余談ですが、先日1月11日号朝刊の記事に掲載されましたが、厚生省が3年毎に調査している「患者調査」の1996年度の集計が発表になりました。この調査は3年に1度実施されているものですが、その中で主な病気別の総患者数をあげてみますと、高血圧は7,492,000人・歯や歯茎の疾患5,717,000人・糖尿病2,175,000人・心臓病2,039,000人 その他諸々になります。このうち患者数の増加の割合最も高かったのは、糖尿病だそうです。3年前の1993年の調査の1.39倍で約61万人増加しております。

 61万人の増加ですか。やはりこれは飽食の時代と言われるようにね。食べ物が本当に豊富になったていう、そのへんが理由/原因してるでしょうか。
 そうだと思いますね。遺伝とかDNAの問題等もありますけども、やはり「食物」それと「運動」そういうことが一番関係していることでないかと思います。再度声を大にしてラジオをお聞きの皆様に訴えますが、薬に頼る前に、日常の食事や運動を通しての健康維持というものを真剣に考え直してみて下さい。では皆様のご健廉を心よりお祈り致します。

はい先生今日は有り難うござい'ました。