出演者 小西健司 1997.12.27

 毎週第4金曜日はお薬の話を伺っています。先生今日はどんなお話を戴けますか

 今日はですね最近コマーシャルとかそういったもので随分流れております。H2ブロッカーについておはなししたいと思います。

 はい H2ブロッカー  確かに今仰ったようにコマーシャルでちょっと耳にしたこと私もありますけれども具体的にはどういったものなのでしょうか。

 今年6月5日中央薬事審議会で消化性潰瘍治療薬ヒスタミンH2ブロッカーであるシメチジン、塩酸ラニチジン、ファモルジンの3成分が一般医薬品として販売を承認されました。もうすでに10月末時点で8商品が発売されて店頭に並んでおります。この薬は、もともと医療用の消化性潰瘍治療薬としてタガメット、ザンタック、ガスターという名前で現在も沢山つかわれており、96年の市場規模で日本で約1800億、世界では約7000億にも販売されているそうです。
 従来では外科手術をしなければ治らなかった胃潰瘍や十二指腸潰瘍がH2ブロッカーの開発によって約80%の方が手術をせずにすむようになったといわれております。開発された方には、もうすでにノーベル賞が贈られているそうです。
 このように素晴らしいキレ味のする良く効く薬ではありますが、それだけに副作用にも充分に気をつけなければいけないということになります。発売に際しまして副作用防止の観点から、講習会が各地で開催されました。メーカ一からの適正な情報提供と小売店からの購入者への服薬指導やPMSとよばれる市販後調査等も実施されております。

 開発者にはノーベル賞が贈られているというすばらしいお薬ということなんですけれども、これは胃や十二指腸に効くお薬ということは分かったんですけれども、その前にまず胃のしくみを簡単に教えてください。

 胃は食道から送られてきた食べ物を一時的にためておくような袋のような臓器です。ゴムのように伸び縮みができまして、空腹時は50ml程度なんですが、食べ物が入ってくると約1.5gにまで大きくなるそうです。胃の主な役割は食べた物を1分間に約3回の割合でおこる「ぜん動運動」という、うねるような動きでよくこねることと、胃酸やペプシンという消化酵素を分泌してタンパク質を分解するとです。食べた物は胃液などと混ぜ合わされ、消化しやすい粥状にまでしてから十二指腸に送られます。胃から十二指腸に送られる時間は食べ物によって異なりますが、一般的には糖質、これはご飯とかパン等のことなんですけども約2時間程度、それからタンパク質これは主に肉や魚なんですけどもこちらが4時間程度、それから脂質、これはバターとかマーガリン等の油類は7時間程度といわれています。胃の内部は粘膜で覆われていまして、冑粘膜には小さな穴が無数にあいております。そこから胃液が吹き出しています。胃液の成分は先程もお話ししましたがタンパク質の大まかな消化をするペプシンとそれから入ってきた食べ物の殺菌やペプシノーゲンを活性化してペプシンにかえる胃酸これは塩酸なんですけども胃の粘膜を保護している粘液からなっております。

 さて胃のなかではですねあの胃液まあ胃酸というものがあるわけなんですけどもこれがどのように分泌していくんでしょうか。

 胃酸はPH1程度の強酸性の液で成分は塩酸です。1日に2β分泌されています。胃酸はどのようにコントロールされているかといいますと、食べ物を見たり、においをかいだり、食べ物で口の中や舌を刺激されて脳からの指令で分泌される場合と食べ物が直接胃の壁を刺激して分泌される場合とがあります。また胃の内容物が十二指腸に送られると逆に胃酸の分泌が抑えられるそうです。この働きに関与しているのが胃の粘膜の壁細胞壁の部分なんですけどもにあるヒスタミン、ガストリン、アセチルコリンが作用する受容体でそれぞれがその受容体と結合しプロトンポンプが活性化されて胃酸を分泌するといわれております。この中でも中心的な働きをしているのがヒスタミン受容体であり最も胃酸の分泌に関与しているといわれております。胃酸が胃を荒らさないのはなぜかといいますと胃の内部は粘膜で覆われていることはお話しましたけども、その粘膜は常に粘液で覆われています。粘液は食べ物などの刺激を和らげたり、分子の網で消化酵素などの胃粘膜に刺激を与える物質をくい止め、さらに分子の網をくぐりぬけた胃酸は粘液に含まれる重炭酸イオンによって中和されます。粘液のこのような働きによって胃は胃酸から守られているわけです。

 なるほどよく胃液っていうのはすごく酸性が強くて要するに食べ物も消化してしまうほどの力があるので、よく胃壁を破らないななんて小さいころから疑間には思っておりましたけれどもではここで曲を挟みまして引き続き先生にお話をお伺いします。

 今日は小西先生にH2ブロッカーについてお話を伺っていますが、まずですねH2ブロッカーの前に胃酸の分泌のしくみですとか、胃のしくみとかそういった基本的なお話を伺っています。そこでですねよく胃が痛くなったり例えば飲んだ後にあと脂っこいものを食べた後に胸やけがしたりとかそういった現象がありますが、これはどのようにしておこるんですか。

 はい健康な胃は胃酸や消化酵素などの攻撃因子とそれから粘液や血流などの防御因子のバランスがうまくとれておりましてこれが強いストレスや暴飲暴食などによってこのバランスが崩れると胃酸の出すぎによりまして胃の粘膜が傷つき痛みとなってあらわれます。これが胃痛でさらに胃酸の攻撃が続くと胃炎や潰瘍になっていくわけです。冑炎は胃粘膜まで、潰瘍は深く筋層にまで傷が及んだ状態をさしております。胃炎には急性胃炎と慢性胃炎があります。急性胃炎の原因の最も多いものは暴飲暴食で、お酒それから香辛料のとりすぎはもちろん、食中毒それから飲まれているお薬の内服によるものそれから食物のアレルギーなどでもおこります。これらのものを飲食した後、たいてい6〜24時間ぐらいで症状が現れます。症状は吐き気、嘔吐、腹部圧迫感などが多くみられます。慢性胃炎は、くりかえし刺激が加わることによって起こるといわれています。急性胃炎同様、原因は酒、たばこ、熱い物を繰り返し摂取することにありますし、その他に年齢的な胃の機能の低下による場合もあるといわれております。常に胃のあたりに不快感やもたれ感がありますが無症状の人も多く実際には相当数の人がかかっていると考えられています。また、胸やけについては胃酸が出すぎている時に、胃が蠕動して胃酸が食道に逆流し、食道の粘膜が刺激をうけておこすといわれています。

 はい 今はねえ もう本当にすべての人がストレス溜まっているという時代ですから、胃痛なんかも結構多くおこるんではないかなと思いますけれども、それでは早速本題のですねH2ブロッカーこれはどのようにして胃が痛い時に効くんでしょうか

 はい先程から'胃酸の話等をしてきましたけども、胃酸を強く・最も協力に分泌させる物質はヒスタミンなんですね。このヒスタミンがH2受容体という鍵穴に結合することによって、分泌が起こるわけですが、H2ブロッカーはこのH2受容体に先回りして結合して強力に胃酸の分泌を止めます。原因が取り除かれることによって症状が改善され、そして正常な状態に戻っていくわけです。従来からある市販の胃腸薬にも制酸剤とよばれるくすりが配合されていましたが、これはすでに胃のなかに出ている冑酸を中和するタイプのもので酸を中和する力が弱かったり、持続性が短い等の欠点があり、さほど効果の高いものではありませんでした。H2ブロッカーが胃酸を止めてしまうことによって消化吸収への影響が気になりますが、H2ブロッカーはヒスタミンによる胃酸分泌のみ抑え、他のアセチルコリンやガストリンなどの刺激による胃酸分泌はある程度しか抑えませんので食べた物の消化吸収にはほとんど影響はありません。医療用ではH2ブロッカーはく胃炎・胃潰瘍が効能として使われていますけども、一般に今この市販されているH2ブロッカーの場合には、胃痛、胸やけやもたれとむかつきが主な効能になっています。胃炎や胃潰瘍は病名であり、内視鏡などの検査結果を考慮しながらお医者さんの診断によって決めるものです。ですから店頭で診断をするのはかなり難しいので、あくまでもお客さんが訴えらる症状胃の痛みなどの効能となるわけです。また胃潰瘍は一時的な服用では治らなく、お医者さんの継続的な治療が必要となります。 OTC薬市販されている小売りのお薬でのH2ブロッカーは、あくまでも胃痛などの一時的な改善の為に使用するということになっております。

 はい一番最初に仰ってましたように効く薬だけに副作用というのも多少心配だと思うんですが、その事についてこの後にお聞かせください。それではこのH2ブロッカーの服用の際の注意点を教えてください。

 同じように効果を発揮するH2ブロッカーもはじめにお話ししたように3成分ありまして、メーカーによって基本的な構造が異なっております。この場合効果の持続時間がそれぞれに異なりますので、服用間隔も異なります。お薬を飲む際にはこの点をよく注意する事が必要です。その他いろいろ諸注意があります。

 まずお医者さんからいろいろな病気でほかの薬等を飲んでいる場合そういった場合には注意が必要となります。血液の病気それから腎臓・肝臓の病気、胃・十二指腸の病気、それから喘息・リウマチなどの免疫系の病気、それからステロイド剤等の服用、抗生物質・抗癌剤こういったものを病院からい'ただいている方は注意する必要があります。

 それからアゾール系の抗真菌剤真菌剤というのはカビの薬なんですけどもそういったものも服用している場合には注意が必要です。

 それから今までにお医者さんから赤血球が少ない、貧血ですね。それから血小板数が少ない、血が止まりりにくいとか血が出やすい、それから白血球数が少ないなどの血液の異常を指摘された方も注意する必要があります。

 それから今までにお医者さん等でこういった胃のヒスタミンH2受容体に拮抗する薬を飲んでアレルギーですね、発疹が出たりとか、かゆみが出たりそういった方も注意が必要です。

 それから子供さん15才未満の方ですね、それから高齢者の方80才以上の方ですね。こういった方についても、特に子供さんに対してはあまり安全性が確立されていない事それから80才以上の高齢の方には腎機能等の生理機能一般が低下している場合が多いので、お薬の排泄が遅れて作用が強く現れる事があるといわれています。

 それから妊娠されている方それから赤ちゃんにおっぱいをあげている方なども注意が必要だといわれております。

 はい強い薬なんでいろいろ注意事項というのも多いかと思いますけれども症状が治まったらどのようにすればよろしいですか。

 そうですね症状が治まった場合には服用をやめていただく事それから先程ちょっと言い忘れたましたけども、3日間服用しても症状が改善されない場合は、服用をやめてお医者さんやその他薬剤師の方にご相談をしていただきたい.と思います。ご自分で市販のお薬を飲む場合にも2週間を超えて続けて服用はしないほうがいいというふうになっております。

 はいわかりましたそれではですね最後に何かメッセジーなどリスナーの方にメッセジーなどございますか。

 はいクスリという文字をですね逆さまに読みますとリスクというふうになります。効きめの良い薬ほど副作用も心配です。このH2ブロッカーは効き目が良いだけに正しい使い方を購入される方が理解し服用することが大切です。厚生省は、医療費削減やその他規制緩和のため、今後よく効く今までお医者さんで使っていたお薬をどんどんスイッチして市販の小売りのお薬にしたいというふうに考えております。我々、薬剤師は薬を扱うものとして効き目の良い薬を安心して使えるように服薬指導を心がけていきたいと思っております。

はい先生今日は有り難うござい'ました。