出演者 坂本道哉 1997.9.26

健康は,私達の願い,そしてかけがえのない宝物です。この時間では皆さんとともに,健やかな心とからだを大きく育んでまいりたいと願っています。

---いわき医療最前線---

健康で心地よい毎日の為に是非お役立て下さい。

心とからだのクリニック。今日は,病院薬剤師会理事の坂本道哉さんに「薬剤師の病棟業務」についてお話をうかがってまいりたいと思います。先生よろしくお願い致します。さて,先日の新聞でも報じられていましたが,出生率の減少からくる高齢化または環境や食生活の欧米化などに伴って痴呆ですとか,いろんな諸問題が起こってまいりましたよね。また,それに伴いまして,慢性病で入院される方も増えていると思いますが,その場合薬剤師の方の病棟業務というのは,どういう事をされるんでしょうか?

はい,薬剤師のですね,病棟業務には大きく分けて4つあります。まずですね1番目として,病棟における薬品の品質管理と薬品の在庫管理というのがあります。次に,患者さんへの症状にあった服薬指導。それから3番目としまして,医帥、看護婦、及び医療技術者への情報伝達及び情報提供というのがあります。4番目と致しまして,注射薬の混注及ぴ配合変化をおこさないようにチェックすることです。
はい。大きく分けて4つあるという事なんですが,これらそれぞれ,具体的にはどういう事をされているんでしょうか?
はい,1番目の病棟における薬品の品質管理と薬品の在庫管理という事なんですけれども,これは定期的に薬品の使用期限やその薬品が光を遮ったほうが良いのか、または冷蔵庫などに保管した方が良いのかあるいは劇薬や毒薬など正しく保管されているのかなど品質面での保存状態をチェックします。次にですね,在庫量を調べ一時使用が止まった薬品は使用頻度の高い場所に移して回転率をよくします。
そういうことが,いろいろなされてるわけなんですね。
そうなんです。患者さんの症状に合った服薬指導と言う事なんですけれども,実際どうするかと言うと,まず医師の依頼を受けた患者さんに対してですね,薬剤師が依頼書、診療録、看護記録あるいは担当看護婦さんからの意見を聞き総合的に把提して患者さんがいままでどんな薬を飲んでて,現在はどんな薬を服用し,また注射剤や坐薬・点眼薬などの外用薬はどうかなど調べて,その患者さん用の薬歴簿を作ります。薬歴管理という事でしょうかね。いわゆる,薬を通して少なからず不安を抱いている患者さんと言う「人」に対し薬の正しい使い方、服用の仕方をはなし安心して使っていただくことなんです。ちろん、患者さんの中には他人に聞かれたくないもいらっしゃいますんで、その方には別室で話をします。普通の方へはベッドサイドでお話しておりますけれども。それからですね3番目の情報伝達及び情報提供という事なんでけども、これは医師や看護婦、及び医療技術者などには、定期的に惰報パンフレットを発刊しまして、又、緊急時にはよりスピ一ディにそれらを伝達します。それから,新しく購入する薬品や使用頻度の少ない薬品、削除薬品なども同じ様に伝えます。4番目の注射薬についてですけれども,注射薬については、静脈注射、筋肉注射、皮下注射が正しく行われているか。また点滴ボトルや高カロリー輸液などの混注の際、配合的にはどうかなどチェック致します。
はい。今最後のほうでですね,高カロリー輸液という言葉がでて参りましたが,ちょっとあまり聞きなれない言葉なんですが,どういう事なんでしょうか。
そうですね,他の方聞きなれないかと思うんですけれどもこれはですね,口から食べ物や栄養物を取ることが出来ない方などのために、鎖骨下静脈からブドウ糖などの高濃度輸液を糖液を注入し補うと言う事なんですね。
私,自分自身の食べている量を思い出しますと,それだけに匹敵する物を入れるというのは,相当大変な量なんじゃないかなと思うんですけれども。
そうですね,かなり量は多いですね。1パックで1gないし2gありますよね,これをやはり私達1日3回摂ってますけども,そのような患者さんの場合には1日1回ないし2回に分けて,やられてるという形になりますね。
それではですね,話は戻ってしまうんですが,先程2番目のほうでですね,患者さんへの正しい薬の使い方という事がありましたけれども,具体的に薬の正しい使い方って言うのはどう言う事なんでしょうか?
はい,この薬の正しい使い方と言う事なんですけれども,これまず薬の名前・薬の効き目、いつ飲んだら良いのか、何と一緒に飲んだ方がよいのか、1日に何回か、どの様に飲んだらよいのか、もし万が一飲み忘れた場合にはどうすればよいのか。なぜ、これらの薬を飲まなければならないか,インシュリンされてる方にインシュリンの場合にはその器具の使い方、注射する部位での効果の違い、1回に注射する量、いつ使えぱよいか使用上の注意点などを説明します。

 実際、どんなに医師を信頼していてもあるいは、看護婦さんを信用していても何の薬を飲んでいるかわからないで飲むのと、この薬はこのような名前で、このような効き目があり医師が治すんではなく自分も一緒になって治すんだと言う気持ちで取り組んだとしたならば,同じくすりを飲むにしてもおのずと治療効果が異なってくるのではないでしょうか。

それはありますよね,なんの薬か分からず飲むと,やっぱり効果がわからないというのがありますから,自分の病気は自分で治すというように自覚を持つことは必要ですよね。飲み方の方は分かりましたが,実際に薬は他にも目薬や先程言いました坐薬って言うんですか今は坐剤っておっしゃると言う事けれども,その坐剤などいろいろありますが,そちらの方はどうなってきますでしょうか?
昔はですね,坐剤ではなくて坐薬といってたんですね,皆さんもその方が聞きなれているともうんですけれども,ただ,なかにはご丁寧に坐薬という場合だと座って薬を飲むと勘違い致しましてですね,わざわざ,椅子を持ってきまして椅子に座って,薬を,坐剤を飲む人がいるんですよね。それで大変な事になったんです。ですから,そのような間違いを繰り返しちゃいけないというわけで坐薬ではなくて,坐剤に切り替わったみたいなんです。
聞きなれないんですけど,坐薬と同じ事ですけど,勘違いされて座って飲む事が無いように坐剤と名前が変わったと言う事なんですね。はいわかりました。今まで知らない方もたくさんいらっしゃると思うんで,ちょっとお勉強になりましたけども,目薬の方の
目薬はですね,医師からもらった目薬とか,それを患者さんが手当たり次第につけておりますけれども,手当たり次第につけてもいいかと言うとそうではないんですね。何種類もでている場合にはよりよく効かせるための順番があります。また,1回の適数,なぜ間隔をあけなけれぱならないか。また,目薬をつけるための注意点があります。よく問題になるんですけれども,高齢者の方は注意事項などをよく読まない方が多いんですね,まして,目薬使う方っていうのは,読むのがおっくうな方が結構多いんですよ。それで,以前にとんでもない事態を起こしてしまった事があったんです。
とんでもない事とは,例えばどんな事なんですか?
例えば,目薬を液に溶かすわけですよね,その場合に溶かさないで目薬の錠剤だけを飲んで,目薬の液だけをつけていて,一向に効果が上がらないといったものとかですね。やはりこちらで説明しても患者さんが納得しても忘れてしまうとかですね。やっぱり確実にその患者さんが納得するまで説明不足だったと言うのがありますけれどもね。
目薬は特にあれですよね,つければいいのかなと思ってしまいがちなので,説明もなかなか途中半端に聞いてしまったりという事が,私もあるので気をつけたいなと思うんですが,あと先程思いましたが,坐剤こちらはどうでしょうか,なんか単純なよう感じもしますけども。
坐剤はですね,坐剤を入りやすくする方法、坐剤がすぐでて困る場合や、坐剤を入れた後すぐ排便した場合のどれくらいおいて次に坐剤をいれたらいいのかとか,それから坐剤をいれる場合の注意点などについてお話をするようにしています。
はい,わかりました。前半では,いろいろとお話をうかがってまいりましてが,後半では実際に病棟で服薬の説明をされる場合に,どの様な点に注意しているか具体的なお話をうかがってまいりたいと思います。

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それでは引き続き後半も,病院薬剤師会理事の坂本道哉さんに,薬剤師の病棟業務の中で実際に病棟で服薬の説明をされる場合にどの様な点に注意されているか,その辺についてお話をうかがってまいりたいと思います。よろしくお願い致します。先程ですね,医師の依頼を受けた患者さんに対して,服薬の説明をされると言う事でしたけどもその薬を説明される場合に,あらかじめチェックする事項というのがいくつかあると思うんですが,どう言う事か教えて頂けますでしょうか? 

まず患者さんに,アレルギー歴があるかどうかというのをまずチェックしますね。それによって同じ分量の薬でもショックとか,失神・発作などが起こる可能性が高いんですね。だからそれらの薬が含まれていないかどうかの,チェックですね。
以前にですね話題になりましたペニシリンショック,これも入るわけですよね?
入りますよ。それとかですね,タバコとか,アルコールとか飲まれるかそういうのもチェックします。
はい。その他はどうですか?
それからですね,妊娠気味とか,妊娠気味と言ったら失礼でしょうけど,妊娠されている方とか,母乳中の方とかそういう方もチェックします。
はい,その場合には,あらかじめお医者さんとか,看護婦さん,薬剤師の方に自分は妊娠しているかもしれないと,きちんと話せばいいんですよね?
ええ。ちょっとそれ言いにくいかもしれませんけどね,自分の体なんだからやっぱり自分で大事にして欲しいと思うんですよね。
そうですよね。ある程度年がたてばいいんですけれども,若いうちはちょっと言いにくい部分あるかも知れないですけどもね。薬どうなるかわかりませんからね。
そうですね,大変な事ですからね,こう自信を持って言って欲しいと思います。
ちょっと話し脱線してしまうかもしれませんけども,今若い人に多く見られるのが,拒食症の方ですとか,私の周りにもたくさんいますけどもダイエットをしている方,そんな方が薬を飲んだ場合に同じ世代で普通に食事をしている人と比べて,薬に対しての影響っていうのは変わってくるもんなんでしょうか?
ええ,これは大事なんですよね。ちょっと説明すると難しいかもしれません,一般に大部分の薬っていうのは,血液中に入りまして,タンパクである血清アルブミンと結びつくんですね。しかし,それがあのやせる為とかね,ダイエットの為に絶食などを繰り返しますと,体全体のホルモンのバランスが崩れてしまいます。それから,肝臓に流れる血流量も減少しますし,肝臓の実際の重さも減ってしまいます。だんだんには血清のアルブミンというのも,減少してしまいます。そうすると皮下の脂肪も徐々にそれを補うために減ってしまいます。そこで,普通の人と同じように薬を飲みますと,大変な事になるんです。どんな事かって言うとその血清のタンパクと結びつかない,つまりタンパク結合率の低い遊離型の薬っていうのが増加しちゃうんですよね,ちょっと難しいです,これ。そうすると血中濃度も急激に上がるわけです,そうすると副作用も急激に出てくるわけです。だから,そう言う場合にはあらかじめ医師とか薬剤師に話していただきたいと思うんです。
はい。いろいろとね難しい事あると言う事ですが,それだけ害があると言う事なので,食事はきちんと摂らなくてはいけないと言う事になるんですよね。
そうですね。やはり自分の体ですからね,大切にして頂きたいと思います。
はい。で,薬のお話なんですけども,病院に行きますと,1つだけのお薬が出ると言う事よりも何種類か一気にお薬が出てくる事がよくありまして,薬同志によります相互作用というのがきっと出てくるんだろうななんて思うんですが,それらを避ける方法っていうのがありましたら,是非教えて頂きたいんですけども。
はい。どうしても病院に行くと何種類も出ますからね,第1に考えられる点ていうのはですね,飲む時間をずらすわけなんですね,それから2番目としては,投与ルートを変えると言う事,ちょっと難しいかもしれません,飲み薬で出てる場合には坐剤にするとか,それから皮膚から吸収する貼付剤にするとか,そういった剤形を変えるだけでもずいぶん違うんですね。
そうですね,財形の異なった種類は違っても変えていくと言う事は・・・
変えていくだけで,中には細胞に到達する時間をずらす事が出きるんですね,だから,副作用とかなんかもある程度回避する事が出来ますからね。
なるほど,そういうのは今まで思った事がなくてですね,出された物はそのままみたいな所がありましたが,そう言う事も相談すればお話していただけるという事なんですね。
ええ。やはり皆さんのための薬剤師ですからね,どんどん質問して頂きたいと思うんです。
はいわかりました。あとですねひとつ疑問にちょっと思う事があったんですけども,薬を口から摂取できない方で,注射をするってまでには至らない方っていうのはどうしてらっしゃるんでしょうか?
ええ,あのよくいらっしゃるんですけどね,例えば錠剤とかですね,カプセル飲めないという方で,それを砕いて下さいとか,あるんです。ただね,砕いたりカプセル外す事によってですね,中の成分である苦味が出たり,それから胃酸で分解しちゃったり,それからしびれが出て来たり,それから急激に溶けて血中濃度が上昇したり,それから油で分解できない薬とかね,いろいろあるんですね。だから,そう言う場合には同じ系統の薬に変えて頂くとか,まあそういう様にしております。
じゃあそうしますと,簡単に飲みにくいからといって,カプセルから外してしまったりとか,錠剤を半分に割って飲むと言う事は,危険な事なんですね。
そうです。なんでも自分でいいように解釈するというのは1番危険です,これ。そういうのはやめて頂きたいと思うんですね。それからですね,患者さんが入院される前にですね,そのいろんなところででてる薬がダブってないか,そんなとこも薬剤師に話していただけるとありがたいんですが。
はい。このへんもですね,あのどういう薬を自分が飲んでいたかっていうのわからないと,説明できないですから,やっぱりそこでもきちんと聞いておくっていうのが大切ですよね。
そうですね,どんどん薬剤師を活用して頂きたいと思います。
はい。じゃそんな時のためにですね,本当に,今飲んでいる薬っていうのを知っておくっていうのは本当に口をすっぱくして言いたいような事なんだなという事がよくわかるんですが,その他には,この高齢者の方に対しては,どういう事を注意されているんでしょうか?
はい,どうしても高齢者になりますと,目が見えにくくなってきて参りますよね,それからちょっとあと,手足が思ったように動かない方とかなんか,多くなってまいりますので,飲み易いように1回分を1つにまとめる,一包化調剤というんでしょうか,そんな感じでやっております。
はい,誤っていろいろ飲んだりしないように。
ええ。ただあのどうしてもその,ワーファリンとかですね,ステロイドっていう風な,そういうような常に変更があるようなそういうお薬だけは,まとめて出さないようにはしております。それからですね,商齢者は幼児,小児などと比べて身体全体の臓器の萎締により組織内の水分量が減少し,反面体内での脂肪の割合が多くなってきます。.そうしますと脂肪性薬剤は水溶性薬剤に比べて身体に蓄積しやすくなります。水溶性薬剤であるブドウ糖は例外として一般に脂肪性薬剤は脳血管関門を通過しやすいと言われています。すると,めまい,ふらつきなどの症状がでやすくなることもあります。また,高齢者は若い方と異なって腎臓の機能がおとろえてきています。にもかかわらず水に溶けやすく腎臓から排泄される薬ばかり使っていたのでは,腎臓に負担をかけてしまう。これらのバランスが大事だと思います。
薬にもいろいろな経路を通っていくのですね?そこまで考えたことなかったんで考えさせられること多いんですけども,最後にですね,ラジオ聞いてる方に何かありましたらお願いしたいんですけども。
そうですね,私たち薬剤師は薬を調剤することは当たり前ですが,世の中に煩雑するいろいろな情撒を調理し薬の調剤と一緒にに情報を調剤するということも大事だと思っています。どうぞ疑問点などを一人で解釈し判断しないで大いに薬剤師iを活用してください。
いつも何回も聞いちゃうと迷惑かななんて思ったりもする事もあるんですけども,これで勇気をもってちゃんと聞く事が出来そうです。いろいろとありがとうございました。
どう致しまして。
今日の心と体のクリニックは,病院薬剤師会理事の坂本道哉さんにお話をうかがいました。