出演者 吉川真一 1997.8.22

 在宅医療ということを 具体的に教えていただけますか?

 在宅医療とは「入院医療」'「外来医療」に次ぐ「第3の医療」として位置づけされ、「入院医療」と「外来医療」については、病院・診療所等医療提供施設で行われるのに対し「第3の医療」である「在宅医療」はその名の通り家庭という「生活」の場を利用して医師の指示のもと看護婦、保健婦といった専門職と、家族、ヘルパーあるいは患者さん自身といった専門職以外の人々が協力して行うチーム医療のことです。
 医療最前線の方でも何回か在宅医療の話は 伺ってまいりましたが、薬剤の中では初めて今日おうかがいするわけですが、こと薬剤に関して在宅医療の問題点は、ございますか?
 現在、在宅医療は医師や看護婦、保健婦を中心に行われ、薬剤に関する部分が完全になされていません。
 薬剤師の在宅医療の参加が強く求められているというところではないかと思います。早速ですが 在宅医療における薬剤師の役割を伺っていきたいと思います。
 まず 最初に処方せんによる調剤、こちらが基本です。次に訪問服薬指導管理といいまして 実際に患者さんのお宅にいって薬の薬効、副作用を説明したり、ちゃんと指示どうりに薬を飲んでいるか 否か、飲んでいない場合にはどうして飲めないのか、例えば 生活習慣の違いで 1日3回毎食後という薬を 1日2食しか食べないために 1日2回しか飲んでいないとか、粉薬なら飲めるのに錠剤が処方されているとか こういう場合に医師に相談して 1日3回の薬を2回のものに変えたり 錠剤を粉薬に変えたり患者さんのニーズに合うようにしたりします。その他 市販薬、健康薬品を含め 他の薬との飲み合わせ、重複投与のチェックをしたり 薬剤の管理、保管の指導、古い薬 不要な薬の廃棄、口から物を食べられない人の栄養補給するための点滴とか、管から入れるための薬の調製のような特殊製剤の調剤管理指導を行っています。
 チーム医療の中でお医者さんが診断したものに伴って処方せんを書くわけですが、処方せんをどのようにして 薬に変えればよろしいでしょうか?
 介護なさっている方が そのままその医院なり病院に行って 処方せんを頂いて来て それから調剤薬局に持っていって 調剤してもらっても結構ですし、医院 病院の方から指示があれば 薬剤師の方が宅配するということができます。その際には薬剤師が 病院とか 診療所に処方せんを取りに行きまして それから調剤して患者さんのお宅へお届けするということもできます。
 在宅医療のなかで薬剤師がかかわるということで どういったメリットがありますか?
 先程も説明したように薬剤師が 実際、患者さんのお宅に行って薬の薬効とか副作用を説明することによって副作用を未然に防ぐとか、薬剤師がそれを見つけることもあります。副作用を知らせておくことによって患者さんの家族の方がこうじゃないかな?と相談なさる場合にも役立つと思います。保管方法等についてもこちらから説明することができます。こういった場合には、例えば慢性疾患でかかっている病気の他に急性で風邪をひいたとかいう場合に この薬とこの薬をどういうふうに飲んだらいいかとか、どういうふうに保管したらいいかとか そういったことを聞いていただければ こちらでいつでもお答えできるようになります。その他 食べ物と薬の組み合わせとか 飲みあわせを聞いていただければ いつでもお答えできます。
 実際にその方の生活環境が見えるという時点でも 指導がしやすいのではないかと思います。それでは、これら薬に関わるものの他に薬剤師としての役割があるということですが、具体的に教えてください。
 呼吸管理機器のような在宅医療機器でこちらの使用指導は、看護婦 医師が説明しますが 薬剤師も緊急の処置とか そういった時には知っておりますのでお聞きください。消毒薬の管理、相談は 普段 病院とか診療所では消毒には常に気を使っているが在宅では どうしてもおろそかになりがちです。それで どういうところに どういう種類の どのような薬を使って 温度はどのくらいで どのような濃度を使うか 薬剤師が教えることができるので いつでも御相談ください。その他 患者さんの住宅環境を衛生的に保つための指導、例えば 加湿器内の細菌汚染のチェック等 こういったものはどうしても 患者さんが寝ている場所というのは北側の比較的暗い部屋になりがちで 換気が悪かったりとかあるので そういった指導も薬剤師が行っています。それからこちらも重要なことですが オムツとか紙おむつ ポータブルトイレのような排泄用品とか 車椅子 歩行器のような移動用品、その他 ベット マットレス 持ちやすいスプーンなど介護用品、住宅福祉機器、こういったものの供給、相談等を行っております。
 今、お話を伺いますと薬の他にもいろんな役割があるということでちょっと驚いたんですが これまで在宅医療に関わってきてどういった症例があったか 教えていただけますか。
 便秘ですが、ただ便秘に下剤を出せばいいというものではなくて その人の体の調子、食べているものを加味して ドクターと相談し最適な下剤を出して 患者さんに喜ばれたこともあります。
 便秘というのもお薬とか 実際 お宅に伺っているので 食生活を見たりとかそういったところから判断ができるものではないかと思いますが その他 在宅医療を行うときに注意したいことがありましたら教えていただきたいのですが 
 アメリカなどのように ベビーシッターを頼んで他人を家庭に入れるということのない日本では、ホームヘルパーを紹介しても 他人は入ってほしくないとか、ディケアサービスを紹介しても 人前には出たくないといったことがあります。このような時、身近な薬剤師が患者さん介護の方々の説得、教育できる存在であればいいと思います。それには、我々病院薬剤師・開局薬剤師だけではなく、医師・看護婦をはじめ福祉関係者などそれぞれに連絡を取り合い協力しあって、よりよい在宅医療を目指したいと思います。在宅医療の場においては 私達薬剤師の活動は、今始まったばかりです。患者さん、介護の方々の声を聞きながらお手伝いが出来ればと思います。皆さん 大いに薬剤師を活用してください。
 先生 ありがとうございました。