出演者 梅田賢一 1997.03.28

健康は,私達の願い,そしてかけがえのない宝物です。この時間では皆さんとともに,健やかな心とからだを大きく育んでまいりたいと願っています。

---いわき医療最前線---

健康で心地よい毎日の為に是非お役立て下さい。

今日の心とからだのクリニックは,薬剤師の梅田賢一先生にお話をうかがいます。聞き手はディレクターの曽我泉美です。

 もうすぐ4月を迎えるに当たりまして,リスナーの皆さんの中にもお悩みの方がいらっしゃると思います。今日もまた花粉症についてお話をうかがって行きたいと思います。早速ですけれども,何回かこの医療最前線でもお話を頂いてまいりましたが,まず花粉症について具体的にお話頂けますか?

花粉症とは植物の花粉によって引き起こされる季節性のアレルギー性鼻炎の事です。その症状としては,くしゃみ・鼻水・鼻づまりを起こします。人によっては目のかゆみや,のどのいがいが感,倦怠感やいらいら感を訴える事もあります。
私も花粉症なんですが,梅田先生はいかがですか?
私も花粉症を持っております。
そうですか,それではお互いにどのような症状かというのは具体的によくわかると思うんですけれども,この花粉症なんですが,どの様な植物の花粉で起こるんでしょうか?またいつ頃の時期に花粉が多く飛びますか?
原因となる植物の花粉は,現在約50種類に及んでいますが,代表的な物は杉やヒノキやブタクサです。また職業性の花粉症としては,いちごハウス栽培でのいちご花粉症や,人口受粉作業で起こるりんご花粉症などもあります。

花粉が飛ぶ時期は,日本は南北に長い地形ですので,各地方によって若干は異なりますが,一般的に杉の場合は,2月の上旬から中旬にかけて飛び始めて,それが約2ヶ月から3ヶ月続きます。また5月のゴールデンウィークあたりからは,ヒノキの花粉が飛び始めます。その他にイネ科の植物である,カモガヤ・チモシ・ホソムギは3月から10月にかけて,キク科の雑植類であるブタクサやヨモギなどは,8月から10月にかけて飛びます。

一年中花粉症にかかってる方ももしかしたらいらっしゃるんじゃないでしょうか?という事になりますよね。ですが私は,このカモガヤやチモシ・ホソムギという言葉は,初めてお伺いしたんですけれども,中でも1番多いのはスギ花粉症だと思うんですけれども,なぜスギ花粉症が多いんでしょうか。
日本の林業の政策と密接な関係があります。第二次世界大戦で,日本は焼け野原となりました。ですから戦後国民は,生活をするため,また国を復興するために次々に建物を建てる必要に迫られたわけです。そこで国は成長が早く,かつ木が真っ直ぐに伸びるスギを中心に拡大造林政策という政策を取ったわけです。その結果植林を積極的に行いました。例えばそのいい例が植樹祭です。
それでも,花粉症という言葉を良く耳にするようになったのは,ココ5年くらいかと私は思うんですけれども。
事実は1975年この頃からですね,スギの花粉症の患者さんが,増加をして来ています。現在スギの針葉樹林の人工林の面積を見てみますと,本州を中心とする日本列島の約45%はスギに,25%はヒノキに占められています。つまり日本列島の約70%は,スギとヒノキに覆われているといってもいいでしょう。このスギとヒノキが花粉を飛ばすわけですから,当然スギやヒノキに対するアレルギー症状を示す患者さん,即ちスギやヒノキの花粉症の患者さんが増えるわけです。
いわきも,日本で1番広い市といわれていますが,その75%以上が山林地帯という事なんですよね。ですから山林には今の統計上でかなりの杉林があるようなんですけれども,私の知り合いで三和に住んでいる人がいまして,三和にいる時は大丈夫なんですけれども,平に出てくると花粉症がひどくなるという事なんで,山間で症状が軽いというのはどういう事なんでしょう?
まずですね,人口密度の事が言えます。例えば東京は日本の全人口の薬32%が住んでいますし,その他にも,人口30万以上の地域が,約16もあるといったように都市部に人口が集中しています。さらに大気汚染,特にディーゼル車に廃棄物が,アレルギー反応を増幅するといわれています。

また都市部の道路は,アスファルトが敷き詰められていて,地面に落ちた花粉が土の中に吸収されることなく,再び風に乗って飛ぶといわれています。つまりは,こう言ったような都市化がですね,花粉症増加の要因といわれています。

それでは,どの様なメカニズムで花粉症が出るのか教えて下さい。
例えばスギ花粉を例に取りますと,スギという異物が人の体に入ってくると,人は元来持っている異物を排除しようとする反応を起こします。この反応がアレルギー反応です。即ちスギが人の鼻から入ってくると鼻の粘膜でアレルギー反応が起こり,いろいろな物質例えばヒスタミンなどが発生します。このヒスタミンなどが鼻の粘膜まで伸びてきて入る三叉神経の末梢に働いて,くしゃみを起こさせ,杉を排除しようとします。同時に鼻水を分泌させて,鼻粘膜についたスギを洗い流そうとします。

さらにヒスタミンは,鼻の粘膜の血管に直接働いて,むくみを起こさせ鼻づまりを起こし,杉がそれ以上鼻の奥に入らないようにします。花粉症の症状は言いかえれば,スギを体の外に排除しようとする,生体防御反応なのです。このスギが目に入るとアレルギー性結膜炎という目の症状,例えば目がかゆくなったり,充血して赤くなったりします。しかし花粉の粒子は大きいため,気管支の奥まで入って喘息を起こす事はほとんどありません。

はい。スギ花粉症でお困りの方はこう言った症状で困ってると思うんですけれども,スギの花粉が飛んできても,症状が実際に出る人とでない人がいますが,これはどうしてなんでしょうか?
症状が出る人は,俗に言うアレルギー体質,あるいはアトピー体質といいます。これをさらに詳しく調べてみますと,遺伝的に決まっていると言う事が分ってまいりました。アレルギーを制御する遺伝子が欠如しているために,アレルギーになりやすいのです。即ち,スギ花粉症にかかる人は,アレルギーを抑制する遺伝子が欠如しているために,スギ花粉に対するアレルギー反応が起き,症状が発現するのです。

ですから家族の中にスギ花粉症などのアレルギー性鼻炎にかかっている人は,今は症状はなくても将来スギ花粉などのアレルギー性鼻炎にかかる可能性が高いと言えます。

なるほど。今年から花粉症にかかったなんて人も聞くんですが,そう言った花粉症にかかるというのは,遅かれ早かれその人のキャパシティを越えると症状が出てしまうというのは,ちょっと聞いた事があるんですが,それは本当ですか?
その辺の実験的なデータはまだ十分にはないんですけれども,キャパシティというよりも遺伝子の問題であろうといわれています。
はい。それではココで曲を挟んでまた後半でも花粉症についてうかがって参りたいと思います。

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今年の飛散料は昨年の10倍を超えていると言う事だったんですけれども,その年毎のスギ花粉の飛散量や飛散時期というのは,前もって予測が出来るのですか?

現在はそれは可能です。スギの飛散量は前の年の夏の一定の時期の最高気温と日射量によって予測が可能になっています。今年は去年の夏の最高気温・日射量から去年の3倍から数倍多くスギが飛ぶといわれております。

飛散時期は,すでに各地で飛び始めていますが日本気象協会の村山さんの経験からしますと,その年の1月1日から毎日の最高気温を累積計算して行きますと,約450℃でスギ花粉が飛び始め,約750℃で大量飛散つまり飛散量がピークになります。

今年は比較的春になるのが早かったというか,暖かな冬でしたよね。しかも,桜の開花も早かったという事で,そう言った暖冬というのも影響しているのですか?
今年は,去年例年よりも比較的2週間から3週間早めに飛び始めています。
それではまず,花粉症をひどくしないための対処法というのを教えて下さい。
スギの花粉症の場合は,スギを吸いこまず,接触しない様にすれば症状が起こらない病気ですから,気象情報や花粉情報を注意深く聞いて,スギの花粉の多い日はなるべく外出を控え,また外出する時はマスクやめがねをかけるなどしますと,かなり症状を軽く抑える事が出来ます。

また,スギ林の近くでのゴルフやピクニックも控えるべきです。さらに帰宅後衣類についた花粉は,ブラシで落としてから家に入ります。家では洗顔やうがいをします。できたら鼻の中も洗います。水で洗うと痛いので,体温より少し温か目のお湯で洗います。また,日中洗濯物や布団は外に干す事や,特に花粉の飛びやすい時間帯は窓の開放は止めたほうが良いでしょう。

そう言った日常生活で気を付けていましても,やっぱり鼻水が止まらないとか,目がかゆくてしょうがないって時あろと思うんですが,そういったときの治療法について教えて下さい。
1つは,薬物療法という治療法があります。これは花粉症に使われる治療薬なのですが,症状の発現を抑える抗アレルギー薬と発現している症状に対して速やかに効く対症薬に分ける事が出来ます。また,投与経路から,鼻や目に直接投与する局所薬と経口あるいは注射による全身薬に分類できます。

たとえば,抗アレルギー薬の内服薬と点鼻・点眼液,ステロイドの内服薬と点鼻液,抗ヒスタミン薬の内服薬,血管収縮薬の点鼻液などがあります。これらの薬はお医者さんが患者さの症状や,鼻の粘膜の状態を見て症状の程度に合わせて選んで処方してくれますので,花粉症と思われる人は,必ずお医者さんに診てもらってください。また薬の副作用が心配な方は,必ずお医者さんや薬剤師さんに相談をして下さい。

それでは最後に,自分がスギやヒノキに対してアレルギーを持っているか検査するほうほうってのはありますか?
はいあります。最近は比較的簡単に検査できる方法が確立されてきましたので,スギ以外でもヒノキ・ハウスダスト・ダニ・大豆・卵白など一度の検査で16種類くらいの検査ができます。金額は保険の本人や家族などによって違いますので,検査してみたい方は一度お医者さんに相談してみて下さい。
すがすがしい春なんですけれども,花粉所をお持ちの方は,皆さんつらい日々が続いていると思いますけれども,こういった自分の身近に出来る対処法とか,あとは薬をうまく選ぶと言う事で花粉症とうまく付き合って行けたらいいですよね。それでは先生ありがとうございました。