FMいわき76.2MHz   

出演者 宮本昭一 1996.11.22

健康は,私達の願い,そしてかけがえのない宝物です。この時間では皆さんとともに,健やかな心とからだを大きく育んでまいりたいと願っております。

---いわき医療最前線---

健康で心地よい毎日の為に是非お役立て下さい。

心とからだのクリニック。今日は,社団法人いわき市薬剤師会会長・宮本昭一さんをお迎えして,医薬分業についてお話をうかがってまいりたいと思います。早速ですが宮本さん,医薬分業とは具体的に言うと,どのような事なんでしょうか?

簡単に申し上げますと,従来はお医者さんから直接お薬を頂いてきたと思いますが,医薬分業になりましてからは,直接お薬をお医者さんからもらうのではなくて,お薬の処方箋をもらってきて,それを保険調剤薬局で調剤してもらう,という方法です。
いわきにおいての医薬分業の歴史を教えて下さい。
医薬分業は,本格的には昭和49年の医療費改正から出発しまして,いわゆる分業元年といわれるのは,昭和49年の事なんですが,いわき市の場合にはそれよりずっと以前に,日本医師会の会長で有名な武見太郎先生の時代に日本医師会の広報委員として武見先生に仕えていた原先生という方が常磐におりまして,この方がまず,いわきに医薬分業方式を持ちこんでくれた。その頃は,全然採算に合わない分業だったのですが,原先生は初志を曲げずに辛抱強く分業を推進してくれたおかげで,まず常磐が分業の最初の実行地として出発しました。

そういう経過がありますものですからいわきは,他の地区がまだ分業ゼロの時代にも,着々着々と,処方箋の発行枚数が増えまして,昭和49年の分業元年の時にはもうすでに,いわきの薬剤師会も,いわき市の経営する磐城共立病院の休日夜間急病診療所の方へ参画しまして,調剤研修を積みながら次の時代に備えたもんですから,異常な速度でいわき市は分業が進みました。現在では,保険薬局数134局,それからその中で,処方箋を実際に取り扱ってる薬局が113局,処方箋の取り扱い枚数としましては平成7年には142万5430枚,という県下でもずばぬけた処方箋の取り扱い枚数を確保しております。これは平成2年に比べると約3倍の枚数でございます。

こういう風になりました一つの大きなきっかけとしましては,平の松村総合病院さんの松村耕三先生が分業に非常にご理解のある方でございまして,いわき市及び双葉郡までも含めた,広域の医薬分業を展開したいというご希望がありまして,いわき市薬剤師会と提携する事になりましたもんですから,一挙に処方箋枚数が増えたという現状でございます。松村病院さんといわき市薬剤師会とで提携して築いてきた医薬分業は,厚生省でも“いわき方式”という名前をつけてくださったような,非常に全国的にも模範的な分業態形として認められております。

それでは,実際に調剤して頂くには,どの様にすればよろしいんでしょうか?
基本的にはまず,気心に知れた近所の薬局とか,または,病院に通院の途中の薬局とか,大事な事は最も信頼の出来る薬局を選ぶと言うことでないでしょうか。
気心が知れていれば,どんな薬局でも調剤して頂けると言う事なのでしょうか?
いえ,これはいわゆる保険契約の行為でございますんで,保険調剤薬局でなければ健康保険に関する薬の調剤は出来ないんです。そういう事の出来る薬局の目印としましてはひとつは,黄色地に黒字で日本薬剤師会基準薬局という表示がある薬局ならばどこでも作って頂けますし,あるいは,保険調剤という看板あるいはまた,処方箋受け付けますなんていう看板を出している薬局なら,どこででも作って頂ける事になっております。
それでは曲をはさみまして,引き続き社団法人いわき市薬剤師会会長宮本昭一さんに,お話をうかがっていきたいと思います。

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前半では,医薬分業の具体的な内容についてうかがってまいりましたが,これからは医薬分業のメリットについてお聞きしたいと思います。

とりあえずは,今まで医療機関から直接もらってきたお薬を今度,処方箋と引き換えに調剤薬局で作って頂かなきゃなんない二度手間のようですけど,まずは,お薬をもらうまで病院で待たされた時間がなくなるという事が1つの直接的なメリットではないかと思います。

それから,それよりも最も内容的に重要なメリットといいますと,こういう調剤をする保険調剤薬局には,必ず薬暦簿あるいは薬暦カード゙といいまして,病院におけるカルテに相当するものを記録して保存しなければならない規則になっておりますもんですから,その内容によってそれぞれの患者さんが,いつ,どんな薬を,どのくらいの量を,どのくらいの期間飲んでいたのか,またその結果効果があったのかどうか,また,副作用はなかったのかどうか,また,体質に合わなかったのかどうか,その他細かい事まで全て書きとめておいてくれますので,のみ合わせの問題とか副作用の問題,重複服用の問題など薬剤師がいつでも薬についての注意を払ってくれておりますので,安心して任せられるわけでございます。

その他にもありますでしょうか?
最近,いわゆる老齢化社会に入りまして,患者さんもそれから介抱する介護者もだんだん高齢化してまいりましたので,薬局としましては,特別のご相談があればお薬の配達もしてくれる親切な薬局もございます。また,これからどこのお医者さんでも処方箋を発行するようになった場合,ややもすると調剤してもらう薬局が複数化してまいりまして,いや例えば,内科にかかったついでに歯医者さんに帰りにかかってきますと,内科の処方箋と歯医者さんの処方箋と二重になります。それを別々の薬局で調剤してもらいますと,先ほど申し上げました薬歴簿に記入すべき薬歴管理の問題が分散されてしまいます。そうしますと,その薬歴管理の効果がマイナスされてしまいますので,出来れば信頼できる薬局をかかりつけ薬局として決めて頂ければ,全ての情報がその薬局に集中しますので,管理が効果的になるだろうと思います。

こういう事は,かつてソリブジン問題としましてガン患者が帯状疱疹薬であるソリブジンを併用されたために,非情な不幸な結果を招いたという問題が起きましたが,ああいう問題はこのかかりつけ薬局で薬剤師に服用薬のチェックをして頂ければ,相当未然に防げた事故じゃなかったかと思います。また,かかりつけ薬局ではいつでも薬のことについて,また健康の事について相談に応じてくれますから,薬を処方してもらう場合でなくてもいつでも気がねなく薬局に相談できるメリットもございます。例えば,いつ飲む薬だったのか,何の薬だったのか,分からなくなってしまうような場合でも,薬局に相談してくれればその薬について詳しく調べてあげる事が出来ます。又は,お医者さんにかかる場合の相談でも,薬局はそういう相談にのってくれるだろうと思います。また,薬は歯が痛いとか,頭が痛いとか,一時的に飲むお薬と糖尿病のお薬とか高血圧のお薬とか,一生そのお薬のお世話になりながら飲み続けなければならないお薬とがありますが,そういうお薬についての心配や全てそういうご相談も薬剤師にして頂ければ,非常にいい事じゃないかと思います。

患者さんの病気など,プライバシーの問題についてはいかがでしょうか?
この問題は分業が進む過程で,お医者さんとの間で非常に議論になった大きな問題でございますが,もちろん処方箋の内容については我々職業上の知り得た情報でございますから,当然のごとく守秘義務が課せられます。従いまして我々が処方箋から得た情報は全て,それは絶対秘密でございますから個人の秘密は守ります
最後に,いわきにおける医薬分業は,今後どの様に変わっていくと思われますか?
もうすでにその方向に向かっていわき市においては動き出しております。と申しますのは,先ほど申し上げました松村病院さんのことがきっかけになりまして,松村病院さんの後に続く病院が次から次と分業についての研究に入りました。いわき市の共立病院しかり,労災病院しかり,それから今もうすでに分業を開始しました植田町における櫛田病院さん,それから勿来の呉羽病院ももう次の段階に入ろうとして研究を進めております。

かようにして,いわきはますます福島県の最先端地域として発展して行くんじゃないでしょうか。ただこれについては,いろんなリスクもありますし,困難もありますが医療機関・薬局共々非常な熱意でこれに対処して行こうとする気甲斐を持って進んでおりますので,いわき市の将来は,皆さんにとって非常に理想的ないい医療環境が出来上がるんじゃないかと思っております。

ありがとうございました。今日は,社団法人いわき市薬剤師会会長・宮本昭一さんに,お話をうかがいました。